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「これ、ミカサが見たらキレますね」
口を「ほ」の形にしながら建物ひとつひとつを眺める。割と身長は高い部類に入る彼女が爪先立ちで建物を眺める姿、やっぱ可愛い。
建物ひとつひとつは日本の古い小学校より少し大きいくらいの規模ではあるが、造りという建物自体は新しいらしい。
素材が何で出来ているかはわからないが、白い壁、壁、壁だらけ。
ユニコーンの角のように聳える朽ちた城を守護しているかのような佇まい。
ちなみに試験会場となっていた場所は学園から少し離れた場所にある建屋で、試験専用の会場だったらしい。
だとすると、闘技場は名ばかりでただの山や海だった可能性がある。
あるいは学園の敷地が異常にだだっ広いという可能性はゼロではない。
「カズマさん、特待生棟はあちらみたいです」
「最近メイドらしさ出てきたな」
「あくまでメイドですもの!」
足を肩幅くらいに広げ、手を腰に当てつつ軽く飛び跳ねる。無論、跳ねる跳ねる。
目の保養です本当にありがとうございます、ごちそうさまです。
「なるほど」
「何故鼻を押さえてらっしゃるの?」
まぁ鼻血が出るような刺激ではなかったにしろ、こうジェスチャーしておけとアザゼル師匠に言われていたので咄嗟にやってしまったが結果として心配してくれているガレさんの上目遣いとタニーマ(谷間)を拝めたので結果オーライ。
特待生棟は門から一番離れた場所にあり、歩くにはやや苦労しそうな距離ではあるが移動用魔法陣もないのでしぱしぱ歩く他なさそうだ、と諦めつつやや早足で特待生棟へと向かった。
ガレさんガレさん、朝から色々ありがとう。本心かどうかわからないが愛してるよ。
「カズマさん、また声に出てる…私も…」
ガレットのその呟きは宙に舞い、カズマの耳には届かなかった。
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