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~ヘヴェレスト魔法学園・特待生棟~
建物自体は大きめの小学校くらいの規模。
魔法学園は4年制で、俺は1年生。
この棟では各学年の特待生が学んではいるものの、一定の成績をおさめていないとすぐに一般棟に異動となる。
だが逆に一般棟で優秀な成績をおさめれば、特待生棟で学ぶことも可能な為、人数は年間8~10回は増減し、その人数は50人程。成績によって大胆な程のクラス替えがあるという、日本では考えられない非常にかったるいシステムと言える。
その特待生棟の玄関あたりに、数名の教師。一般学生の服装は濃紺のブレザー制服に魔法杖あるいは魔法剣と呼ばれる、魔法を発現させやすくするための媒介具を携行するがローブや帽子は「邪魔くさいから」という理由で撤廃されたとの事。
かわって特待生はグレー、あるいは白のブレザー制服に同じく魔法杖あるいは魔法剣。特待生に限ってだが、使い魔とは別に妖精の使役が認められており、その白の制服と相まってようやく魔法の世界らしさを感じる。
妖精は人型、球体、クリスタル型の三つあり、それに可愛らしい羽が二枚一対生えている。
教師は全員、溶接作業用のズキンのような形状の布がついた帽子を被ってはいるが服装はバラバラ。
その変な帽子を被っている教師達が俺をみながら手を振る。
俺はそれに対し会釈をしながら教師の元へ向かう。
「ようこそヘヴェレスト魔法学園へ。
新一年生は一階のA教室に行ってくださいね」
どこぞのソーシャルカードゲームの僧侶のような声に似た教師が微笑みながら入棟を促す仕草をする。
「あなた、お名前は?」
「カズマ・セイズ」
「あぁ、例の」
教師が話したそうにしていたが、それを無視しつつ中へ入る。
中は学校特有の古臭い木の香りに包まれており、設備も日本のそれと変わらない。
せいぜい消防法により設置が義務付けられている消化器、AED(自動体外式除細動器)などがない位だ。
「自販機もないですね」
「それだけが残念。ってか何故自販機がわかるんだ」
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