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ふふ、と適当に俺の質問をはぐらかすガレさんは俺が学ぶ教室1-Aの前まで小走りで向かう。多分、揺れてるだろうなぁ…とガレさんの背中を追いながら割とどうでもいい話で頭をいっぱいにする。大丈夫か俺。
「カズマさんは最前列中央の席ですね。
居眠り出来ませんね」
キャッキャとはしゃぐガレさんのその表情はここ数日で見たガレさんの表情とは違い、水を得た魚のように輝いていた。かわいい。
「それと、今年の特待生はカズマさん含め13人です。」
どの席につこうが、どっちみち居眠りは無理だなと諦めモードに切り替わったあたりで教室に入る。…うん、二つの意味で
「「古臭っ!!」」
ガレさんとハモる始末。ここにミカサさんは連れて来ないようにしなきゃ。しかし、逆に来たがる可能性もあるのだが、そうなってしまってはこの学園が滅ぼされかねない。
教室内は席が少ないという以外は、そこいらに転がっている学校の教室と大差はない。黒板がスライド式の二枚構造になっている、テレビがない、黒板消しクリーナーがない、黒電話がある、と言う以外はほんと普通の見慣れたあるいは記憶の片隅にある教室だ。
だがコンセントがないところと、照明がなにやらよくわからない形状をしてはいるものの、誤差の範囲内と言っていいくらいどうでも良い。
「あ、破壊者くんだ」
「壊れる方が悪い」
「一理ある」
「あるのォ?!」
クラスメートに破壊者呼ばわりされている。
無論、理由は魔法の試験の際のボアインパクトのせいだろう。だがあの魔法は規制魔法に属していないので大いに役立ってくれるはずだ。
あ、そうそう。魔法の名前には動物や魔物、悪魔とかの名前が用いられることが多いようだ。
「ラットファング」「スネークバインド」「ケルベル・ジャイル・ランケッサ」…ごめん、最後の一個は嘘。大高先生、連載お疲れ様でした。
地球の週刊日曜日の連載終了した漫画に幾許か思いを馳せながら席に座る。
視線の先にある黒板に、何かが書いてある。
「魔法杖、魔法剣の所有許可書を書いてください…。ぶっちゃけいらないんだよなぁ」
「一応、規則なので持っておきましょうね」
「へーいへいへい」
「何故ノリが愉快痛快なアレなんですか」
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