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「カズマ、お前…大丈夫か?」
「師匠、僭越ながら伺いますが何がですか?」
「いい加減その堅苦しさをなくせ!ったく、これだからジャパニーズの人間は!」
無限の扉に放置され、どれくらい経過しただろうか。
数え始めて数年、数えるのをやめて数百年。
老いるどころか体は筋肉もりもり!ってな具合に仕上がり、今なら昔見た異世界に自衛隊が行く話に登場するゴスロリの持つ武器すら余裕で振り回せそう。やらないけど。
「よし、休憩だ。…て言うかカズマ、お前のスタミナの回復速度が速すぎる。俺がもたないわ」
剣術、柔術、棒術、槍術などのありとあらゆる得物を用いた戦い方や応用、果てはサボり方までをも師匠に教わる。
今は徒手格闘…わかりやすく言えばステゴロを教わっている。かれこれ二週間ばかり続けてたから、師匠もお疲れらしい。だが俺はまだまだ元気で、適度にクールダウンをしながらストレッチしている。
「もう、俺が教えることはない。魔法に関しては不本意ながら人間のが強い。俺らは魔族とは言いながらも魔法は基本的に闇属性主体だ。水属性主体のお前に教えられる術者も術もない。」
師匠はそう言いながら、だらけていた姿勢をゆっくり立て直しながら俺にペコリと頭を下げる。
魔法適正を計測した際、俺は水属性と闇属性、さらに風属性を持ち合わせているとの事。しかしながら闇属性に関してはこの無限の扉に来てすぐにあらかた覚えてしまったので今は魔力による強化なしでの戦い方を染み込ませている状態ってわけさ。
水属性の魔法は、闇属性の魔法の応用でだいたいは覚えたが精度や練度がイマイチならぬイマサンくらい。
なのでハデスの提案により俺は魔法学園への入学をして、そこで魔法を学ぶことにした。異世界から呼びだされた勇者(この作品では勇者と書いてバカと読む)にも接触しやすいのがメリットである。
費用は特待生なら全てが無料らしいので、それになる為に修行を積んでいる。
「お前が来て、この扉の中の世界で3000年くらい経ったな。」
「マジすか師匠」
「俺、実体がないせいで時間の流れには敏感なのさ。
ちなみに扉の向こうでは確か3日経つか経たないか位だったはずだ。
カズマ、ハデス様の為に戦ってくれ。で、また来い!」
師匠…悪魔アザゼルに蹴飛ばされ、扉の向こうへと無造作に俺は投げ出されてしまった。覚えてろよ。
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