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水戸納豆ってのは1083年、源義家が立ち寄った屋敷で馬の飼料に使われていた煮豆から作られたと言われている。つまり約900年以上の歴史があると。
元々、水戸では自家製で納豆が作られていてそれぞれの家庭で食されていた。明治に入り「ちょんまげ切ってザンギリ頭を叩いてみれば文明開化の音がする」なんて言われ、納豆はいわゆるクチコミで広がっていき水戸は納豆発祥の地と言われたりして今日を築き上げている。
水戸納豆と言う名前はブランドであり、総称ではない。正確には「天狗納豆」という会社から出されている水戸納豆であるが、水戸納豆製造株式会社もあることからおそらく基準があるのだろう…。
だがそんな納豆がよもや異世界…まぁフィクションと言われてもおかしくない世界でヴァンパイアに愛されてるなんて予想しなかっただろうなぁ…。
「ちなみに調味料は?」
「砂糖、塩、和がらし、薄口醤油、めんつゆなどなど」
「何故仕入れられるのです?」
「なんかさっきの決闘が終わったあたりでハデスから一方的に「土産がある、マーリンに持っていかせる」って連絡があってな」
ほほぉ、とアホ面で構えるガレさんは関心したようなそぶりではあるがきっと分かってない。ゆえに、アホ面。だがそこがいい。
「た、タイミングを見計らって!参上!」
セリフ通り、タイミングを見計らったマーリンが教室のドアを開けて文字通り参上した。唐草模様の風呂敷を二つ持ち、肩で息をしている。…ヴァンパイアでも疲れるんだね、関心関心。
「カズマ様、小包です。」
息を軽く整え、おそらくメイドである時の営業スマイルという仮面を被ったように笑顔で風呂敷包みを俺に押し付ける。
「馬車の車輪サイズの袋を小包と」
「じゃあ……中包(ちゅーつつみ?)」
「おまえのサイズ感を疑う」
「失礼な、ガレットよりウエストは細いですよ?」
「聞いてねぇよ」
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