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「結局、あの勇者は何しに来たんだ。お、タコさんウインナーだ。」
「私には分かりかねます…。あら、この柴漬け美味しいですね」
「朝から結局夕飯前までいたからな。…ねぎの味噌汁がうめぇ。またガレさん腕あげたでしょ?」
「お昼もさりげなく食べていきましたし…。
今日のは煮干しのハラワタをとった上でダシをとりましたから自信あります!」
迷惑駐車ならぬ迷惑勇者は朝から夕方になる前まで俺の家に居座っていた。
そうそう、決闘の勝者は好きなタイミングで2日休みにしていいらしいので今日は平日だがゆったりまったりとしていたのだ。明日も無論休み。そんで土日休みの四連休という、学生身分様様な生活を…いや違うよ?前に言ってた裏の仕事の段取りがあるからね。
それにしてもあの勇者…、特待生だから寮は一緒だよな……?さすが仏訳「蜂の巣」の名を冠する寮なだけあるな。
「カズマ殿、おられるか」
ガレさんは「さん」、ミカサさんは呼び捨て、マーリンは「様」、ハデスは「カズマ」だがミカサさんのそれとは微妙にイントネーションが違う。ちなみに勇者は破壊者としか呼ばない。
だとすると「殿」と呼ぶのは一人。セイバーっぽい寮長だ。
「はいはーい」
ドアを開け、寮長に顔を見せるとその隣にすっごい見慣れた顔の女性が真っ赤に顔を腫らしながら時折しゃくり上げるように呼吸している。
「この部屋の前でトーリ殿が泣きじゃくっておったのでな」
「なんで?」
そういや勇者の名前、トーリ・クラウンライトニングとかって名前だったっけな。
やっぱりちゃんとクラウンライトニング先輩って呼ぶべき?死ぬほどめんどくさいんだが。
「それがな、理由を訊いてもイヤイヤと首を振るだけでな」
「童謡のネコみてぇな奴だなこいつ」
この童謡が何かわかった人はコメントよろby作者
…なんか聞こえたが気にすんなよ。
「先輩、自分で帰るって言ったのにまだ用か?」
「ぐすっ、じゅるっ……あぁぁぁぁぁぁぁぁん」
「ダメだこりゃ」
「お腹空いたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「自分で作れよ?!」
「作れないんだぁぁぁぁぁ!くそぉぉぉぉう!」
よくこの寮で四年も暮らしていられたな、あの勇者。…あれ、そういや寮って自炊か寮食か選べるよな。自己申告制で、自炊出来る人は自炊推奨って。…この勇者、見栄張ってたんじゃね?
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