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「四年間、なにやってたんだコイツ」
「…さぁ?」
未だひくひくと泣くトーリ先輩を尻目に、食後の信玄餅をもちもち食べている俺とガレさん。思ったことは、信玄餅だろうが葛餅だろうが、黒蜜きなこでだいたいきなこ黒蜜味の噛みにくい何かに変わるよなって事。故に黒蜜きなこは強い。
すなわち、トーリ先輩が泣いていようがいまいが俺にはどうでもよい話だ。
だがお腹が空いている人を放っておける程俺はまだ人間を捨ててはいない…と思ってる。なんか、かわいそうだなって…ね。
「先輩、何食いたい?」
「…グスッ、…ごはんが食べたい」
「聞いた俺が悪かった」
「カズマさん、ねこまんまはいかがでしょう?喉詰まらせたりしないですし」
空腹は最高の調味料であり、最高の麻薬である。俺の持論だが、その通りだと思っている。人は食べなければ生きていけない。食が断たれた時、人はその欲にまみれ理性を失う。麻薬常用者も麻薬が切れれば理性を失う。まぁその程度に違いはあれど、表にしてしまえばあまり変わらないのも事実。
そうなると食欲にまみれ、がっついて食べてしまい、ウッウッと嚥下(えんげ。飲み込むの意)が著しくおろそかになる。
その時が…まぁなんというかめんどくさい。ガレさんは単なる残飯処理によいとニヤニヤするが俺は勝手にガレさんのその提案を評価する。
「味噌汁を少し薄めて、そこにごはんを入れて一煮立ち。ねぎを刻んで散らしてあげよう。」
「指示が具体的過ぎません?!」
ふぅん、と多少不満そうな表情を見せるがその姿が可愛らしくて仕方ない。あかん。
「カズマさん、煮込みうどんをくたくたにしたものはダメですかね?」
「うどんはアカン。今うちにあるのが讃岐うどんでコシが半端ない。
間違いなく喉つまりする」
「優しいのかめんどくさいのか面倒見がいいのか」
「食べさせてさっさと返したい」
「おー、本音がダダ漏れですね」
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