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徐々に味噌の良い香りが立ち込め、満腹のはずなのにお腹が減ったような感覚に陥るが所詮は気のせいなので静観を貫くべくコミカルな絵がプリントされたミトンを両手に嵌める。ガレさんはこのミトンを見て、さっと視線をそらす。
「なんで持ってるんですか…」
「ラウムさんから」
ハデスのとこのメイド五人衆が一人、そしてメイド長のラウムさん。
年齢は秘密らしいが、400年ちょい生きてるガレさんが年上と言うので年齢は聞くだけ無駄で途方もない。ちなみに身長は一番低い。
そのラウムさんが俺に送ったものと言うのが、ガレさんが昔(2~300年前)落書きしたキャラクター「きゅーちゃん」のイラスト。ガレさんはこれを黒歴史としているのだが、意外と馴染みやすい顔立ちをしている。トラのようなイヌのような、よくわからない顔なのだが何故か憎めない。
「それをグッズ化してしまったんですね…」
「俺こういうの好きだなぁって」
俺のその言葉を聞き、その日の気分で髪のツインテの高さが微妙に変わるガレさんはしきりにツインテをいじり、くりくりして照れている。かわいい。
「そろそろ煮えますよ」
「器とスプーン用意するわ」
「そのミトンで?!」
「…ハッ?!」
あからさまに、わざと驚いて見せるとガレさんは俺の手から黒歴史ミトンを外して自分の手にはめなおす。
なんだがニヤニヤしているように見えたのだが本人が割とアルカイックスマイルが逃げ出すくらい表情の変化がわからないので実際ニヤニヤしているかはわからない。
「カズマさん、手冷たいですね」
「心はホカホカです」
やはりニヤニヤはしていなかった模様。
しかし、なんというかほっこりとした触れ合いだなぁなんて思いながら俺は多分そのうちひどく、いい意味で後悔するフレーズを口にしてしまう。
「ガレさんとずっとこんな生活したいなぁ…」
作ったわけでもない、素の声、俺の本音。
言ってしまった手前引き返すことは叶わない。俺もしどろもどろとしてしまいそうになるのだが、そこでガレさんが
「にゃ?!は、はわ、、え…ちょ、え、…あわわわ」
どこぞの干物な妹の巨乳同級生みたいに額から湯気をのぼらせている。ツインテ、巨乳、そしてこの照れ具合…まんまですね。
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