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『松川、元気か。どうしてる? そろそろ大学に出て来いよ』
『松川―。飯食ってるかー。大須にでも一緒に食いに行くかー』
『おーい、松川ぁ~。生きてるか~。生存確認』
柴田からくるメールのどれにも「サンキュー。大丈夫」とだけ返した。元気とは言えないが、一応生きていることだけは報告。
柴田と大学で初めて会ったのは四月。新入生向けオリエンテーションのサークル活動紹介の会場だった。会ったというよりも、着いた席でたまたま隣にいた、という方が正しい。柴田が話しかけて来た。
「大学に入ってサークル活動するなんて、その時点で勉強には興味ありませんってキラキラと言っているような気しません?」
「キラキラ、すか?」
ですます調でしゃべったのはこの時だけ。延々と続きそうなスポーツ同好会の紹介途中、柴田は席を立った。俺も続いた。
会場出口に向かう柴田は、思ったよりも背が高かった。サイドもバックもきっちりと刈り上げ、トップを軽く立ち上げたスポーツタイプの髪型をしているくせに、スポーツやらないのか。それとも、高校時代は部活でガンガンにやっていたけど、大学ではやりません、なタイプ?
「学食でお茶する?」
振り返った柴田にナンパされた。その笑顔に打ち抜かれたという世界ではないが、以来の付き合い。
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