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「宝石?まあ、後で解体してみたらわかるか」
そうしているうちにホバークラフトに乗った所長とウサギさんが戻ってきた。
この氷山の発見者権利申請とカメラの回収をしたら日が暮れるだろう。
今日の仕事はこの辺で終了になりそうだ。
★
バベルの塔が築かれてからもう四世紀が経った。
そんな昔の人類に今でさえ困難であるほどの、かくも巨大な建造物を建てる技術があったこと自体が驚きではあるが、さておき、塔の建設は人類に取って大きな意味があった。
二十四世紀前、最初に作られたバベルの塔は創造主の怒りに触れて粉砕され、長らく人類の言語は不必要に多様化し、文明の発展は著しい遅延に見舞われた。
しかし、そんな混乱の世界が二十世紀続いた後、名も知れぬ救世主が現れ、全ての言語を統一し、再びバベルの塔を建築したのである。
その救世主が作り上げた塔は小さく、神の門を目指すものでもなかったためか、或いは他の理由があるのかは諸説あるが、兎に角、今度は創造主の怒りに触れることはなかった。
もう一つバベルの塔が作られたことによってこれまでにない大きな変化があった。
人類とその他の動物たちの間に明確な意味でのコミュニケーションが可能となったのだ。
もちろん、声帯の大きさの問題もあり、哺乳類や鳥類以外の種の言葉はほとんど聞こえないが、それでも副次的に発生したこれらの種の言語の統一は人類の発展を促進させるものに違いなかった。
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