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勿論、喋れるからといって脳の大きさの差もあるからペンギンさんやウサギさんが機械を巧みに使えるようになったわけではない。
しかし、人間と共存していくためのルールを取り決め、労働の賃金体系を決めて単純作業や特殊な作業を彼らに代行してもらうことはできるようにはなった。
例えば足の速いウサギは伝令、泳ぎの得意なペンギンはダイバー、鳥は測量や空撮などだ。
そして、私の所属する北極ペンギン事務所はバイカル湖に沈む太古の遺物探索を生業とする、昔で言うところのトレジャーハンターだ。
ペンギンさんやウサギさんたちと一緒に日々遺物探索をしている。
以前、所長に事務所の名前の由来を訪ねたことがあるのだが、その際には「北極にはペンギンはいない。
ここに遺物もあるかどうかも分からない。
だから俺たちは北極ペンギンの名前を掲げて伝説を探しに行くんだ!」などとほざいていた。
これがまことに可愛らしい我が事務所の名前の由来である。
太古の遺物というのは第一次のバベルの塔建設以前の高度な文明の残り香のようなものだ。
今はバベルの塔を維持管理する教会によってこれらの回収が行われている。
過去の遺物には今の世界にとって危険なものも多く、協会はそれを回収して封印指定するか、或いは世に広めて広く活用するかを判断する。
とはいえ、遺物は広域に広がっており、これを一つの教会で発掘していくのは難しいため、そうした泥臭い作業は我々遺物探索事業者に委託されているのだ。
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