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バイカル湖には沈んだものを氷で包む不思議な性質があり、世界有数の遺物の発掘場所になっている。
どうしてそんなことが起こるのかは今の科学では判断がつかないと専門家の人は言っていた。
また、千メートル以上の深さにあるバイカル湖の湖底には多くの遺物が氷に包まれて沈んでいるとされているが、そこまで深く潜れる哺乳類はバイカル湖におらず、機械にしても現代の科学技術ではちょっと難しい。
なので我々はもっぱら地殻の微妙な変化や地震などによって偶然に浮かび上がってきた遺物を発掘・教会へ申告して生計を立てている。
★
パッシァ(ロシア語:想いびと)と名付けられた氷山の分析は丸一週間かかった。
まずその規模があまりにも大きすぎて測量用ダイバーのペンギンが足りなかったため新たにペンギンさんを二十八羽雇った。
これまで頑張ってくれていたペンギン一号さんと二号さんをリーダーとして二チームを編成、氷山の測量と成分分析用サンプルのサンプリングをしてもらった。
次に非番のバイカルアザラシさんに出勤してもらい、潜水してもらって氷山底部がどんな状態になっているのかを見に行ってもらった。
バイカル湖の深さを考えると水深は二百メートルではきかないほど深いかもしれなかったが、その場合は潜水艇を借りて調べに行かなければならない。
潜水艇はぼったくりのようなレンタル費用がかかるため出来るだけ使いたくはなかったのだ。
その結果分かったことがいくつかある。
一つは、氷山が円錐の底面を合わせたような構造になっているということだ。
見た目にはそんな風には見えないが、超音波で反射波の状態をみたところ、氷の下に人工的な構造物が内包されていることが分かったのだ。
間違いなく太古の遺物だ。
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