霊長類最恐嫁

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 俺の嫁、菜々緒(ななお)。  名前からして美しいだろう。  とある芸能人を彷彿するような黒髪ロングのスタイル抜群の高スペックをもつ超絶美人のS顔。  M男だったら罵られたい願望はあるはずだ。  しかし、しかしだ!!  うちの豚、じゃなくうちの菜々緒は霊長類最恐嫁だ。  結婚して十年。  念願叶ってのマイホームを手に入れた。  俺、カズトは大学卒業後、ちょっとは名を馳せた企業に就職。  が、しかし、ここはブラックだった。  日曜出勤当たり前。残金当たり前。寝不足当たり前。スダレ禿げ部長の雷落としは当たり前。  そんな生活に俺の絹ごし豆腐メンタルは削られるばかりだった。  三年が経ち新人社員が入社、そんな時に女神に出会った。  艶やかな長い黒髪。顔ちっちゃい、脚細い、そして巨乳。  じつにけしからん!!  俺は一目惚れしてしまいアタックしまくったさ。  一際目立つと言うよりも(巨乳は目立つ)人より静かで一歩ひく感じの大人しさだった。  念願に恋人同士になり、優しくて、可愛い彼女に俺はゾッコンだった。  それでめでたく結婚したのが菜々緒。  その後宝石のような長女が産まれた。  そしてマイホームに至る。  で、その俺の嫁、菜々緒。  あんなに細くて可愛かった嫁は変身してしまった。  俺は何度も何度も頬をつねったさ。  これは現実じゃない!夢だ!悪夢だ!と。 「おい!てめぇ!さっさと晩飯つくれよ」 「夢なんかじゃねえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」  テレビでなんとか動物園がトドが芸をしている観ている横寝しながら饅頭をガツガツむさぼるトド(嫁)。  ぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶく太りやがって!  CMでライ〇ップが流れると。 「私はあそこまで太ってないから大丈夫!」 「あ、そうだね(ギトギトのスペアリブを食べて笑うなよ!当たり前に太りすぎだっつーーの!!)」  地震か!?嫁はぴょんぴょんと家の中でダイエットだと飛んでいる。  ハッハッー!家壊れないかな?  今日は七夕だ。  相変わらず嫁は団子を口の中に頬張る。  嫁は言った。 「つくづく思ったんだけど、あんたと結婚して良かったよ」  何を言ってるんだこの肥えたリスが!!  そのお返しに俺は夜空への願い事を込め。 「俺もだ。これから死なない程度に死ぬまで一緒にいよう」  俺は嫁を愛している。  
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