どこかで見たことあるような?

6/12
前へ
/12ページ
次へ
「おい!待て!見かけないやつだな!いや、どこかで見たことあるような?」 「私のことですか?」 と、振り返ってみたら、大きな牙の、長い舌をだらりとたらした、世にも恐ろしい顔のオオカミが立っていました。 「そうだ!お前だ!」 「私に何か用ですか?」 「何か用だと!用だから呼んだんだ!文句あるか!」 と、恐ろしい声で吠えます。   恐くなったアイは、どうしたらよいかわかりません。 「では、どのような用があるのでしょうか?」と 恐 る恐る聞いてみました。 「うむ。お前の走っている姿を見て、追いかけてきた!」 「私の走る姿?」 「そうだ!ピョンピョン跳ねている!」 「それが何か?」 アイには、さっぱり、わからなくて、首をひねりました。 「そんな走り方、見たことない!」 「そうですか?私たちウサギは、みんな、この走り方ですよ。」 「跳ぶように走る。つまり、ウサギ跳びだな!」 「それで、追いかけてきたのですか?」 「いいや。捕まえることができそうにないから、まず、呼び止める。そうして、お前を食ってやろうと思ったのさ!」 と言うなり、オオカミは、アイに襲いかかりました!
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加