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空いっぱいに星が輝く夜でした。北関東の山間にある星影村は、空気が澄んでいて、夜になると人工的な明かりも乏しく、深い闇が訪れます。からりと晴れた日中の天気も相まって、月の沈んだ夜半過ぎ、夜空の海一面に光の砂をまき散らしたように、小さな星々が、自分たちの存在を主張していました。
星影村には小学校がありました。ちょうど山のふもとにある二階建ての古い校舎で、村唯一の学校です。全校生徒は百人を切っていますので、一学年につき、一クラスしかありません。最高学年である六年生は男女合わせて二十人です。それでも他の学年と比べたら、子供の一番多い学級でした。
人気のない夜の学校の、しんと静まり返った闇の中で、蠢く影がありました。影は連なって、細かい砂利の広がる大きな校庭を、まっすぐに突き進んで行きました。
ぐぐぅ。影の塊が校舎の裏側に回った所で、牛が鳴くようなくぐもった音が、静寂の中に響きました。
「ひゃあ」
同時に甲高い男の子の声が上がりました。
「ビビんなよ、ぼっちゃん。おれの腹の虫だ」
「腹の虫って、キッド、もうお腹空いてるの? 晩御飯あんなに食べてたのに」
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