21章 禁断の書

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・ 月は輝く── まるで光りを次の新月に受け継がせるように強く煌めく。 最期(終り)は何事も美しく感じる── 窓から見える高い塔。その後ろには光り輝く満月がそびえている。 モーリスはそれを見つめ諦めのため息を吐いていた。 「やはり難しい賭けでございましたか……」 ぽつり呟き見上げていた窓に背を向ける。 コツコツとゆっくり踏み進める足音── モーリスはそれを鳴らしながら屋根裏部屋の扉を開いた。 柩から出したルナを抱き締めて、そこに背を預けて床に座り込んだまま、グレイは遠い目をしていた。 「旦那様…」 モーリスは小さく呼び掛ける。 聞こえたのか聞こえていないのか…ただ、今の主人のことを思うとそう口喧しく呼び掛けることはできない。 もう一度小さく口を開きかけたモーリスを、グレイはゆっくり顔だけを向けて振り向いた。 モーリスはまるで放心状態の表情のグレイに、言い掛けた言葉を伝える。 「日が変われば三日が過ぎてしまいます……どうかルナ様を──」 「……ルナを…なんだ」 「───…」 とても弱々しい瞳を向けられてモーリスは驚いた。 まるでルナと共に朽ち果てそうな程に衰弱した表情。 それ程までに辛いのなら何故あれが手に入らないのか── 魔物の中の魔物であることがそれを許しはしないのだろうか。
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