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圧倒的に小柄な亜朗は、背丈だけでは無く、顔の作りも母親に似た。
大学生時代に4年間ミスコン優勝。
ほんの少しの間、バイトで雑誌のモデルもしていたという母親の夏々は、38歳の今でも20代前半に間違われる程の可愛さがある。
そんな母親と、瓜二つとまで言わないにしても、見れば誰もが親子だと分かる位にそっくり。
紫朗も亜朗と似ているのだが、父親の晋一朗と並ぶと、力強い目元や鼻筋、口元等は父親譲りなのが分かる。
……と、いう見た目に加え、15歳という年齢特有の子供っぽい可愛さと、不意に大人っぽくも見える雰囲気とで、いまだかつてない可愛さが今の亜朗にはあった。
幼い頃からずっと側にいた千尋と三つ子でさえ、恋愛感情を持っている事を抜きにしても、ドキッとしてしまう瞬間は多々あるのだ。
それを考えれば、そういう事に多感な思春期の男子校生が亜朗に興味を持つのも当然と言えなくもない。
「どうする?亜朗は嫌がるかも知んないけど、もうちょっと周り牽制する?」
釉が言うと、湊斗以外の3人がう~ん、と唸る。
「出来れば、亜朗が嫌がる事はしたくないなぁ」
「だからって亜朗に言い寄られるのムカつくし…」
「亜朗は俺らの事が好きなんで、って言う訳にも行かないしねー…」
ここで湊斗がちょっと躊躇いがちに口を開いた。
「ごめん…俺さ、ちょっと自信ないんだよね…」
不思議そうに4人が湊斗を見詰める。
「俺、4月に初めて亜朗や皆と会って、まだ2ヶ月半でしょ?」
「…千尋や三つ子みたいに、亜朗と強い絆がある訳じゃないし、たまたま同じクラス、同じ部屋割りになっただけで…… 」
「亜朗の顔がメチャクチャ好みってとこから始まって、亜朗の性格に惚れて…」
「全部俺が一方的なのに、俺のどこを亜朗は好きだと思ったんだろう、って……」
そこまで言うと、湊斗は苦笑いをする。
そして、それを見た4人は困った様に微笑んで、順番に湊斗に声を掛けてゆく。
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