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「想ズルイっっ!!」
「俺もーっ!」
葉と釉も飛び付いて来る。
「ちょ……っ!待って待って待ってッッ!」
3人の体重で完全に押し倒される。
「落ち着いてぇぇぇ!」
もう滅茶苦茶だー!
湊斗からは、おぉ~!と感嘆の声が聞こえる。
……見てないで助けて欲しいんですけどっ!?
「ちょっ!待ってって……!」
ギュウギュウに押し潰される中、頭を打たないように三つ子の誰かの手が添えられているのが分かる。
もーー!そーゆーとこ優しいから本気で怒れないんだよーーーっ!
ゴゴゴンッッ!!━━━━━━━━━━
「こんの、馬鹿共がっ!」
千尋が三つ子に本気の拳骨を落とす。
「「「いっ…!」」」
3人が同じ態勢で頭を押さえる。
…………助かった………。
「っはぁ…苦しかった……」
のっそりと上体を起こして、ぐちゃぐちゃになった髪を整えながら、チラリと湊斗を見る。
「み、湊斗……変なとこ見せてゴメンね?」
謝ると湊斗は…………………踞って笑ってた。
「クククっ…だ、大丈夫…ブハッ、全っ、然…余裕…」
「そ、そう?」
……………涙流して笑ってるよ………。
「いやホント、すっごいな!」
「いやホント、お恥ずかしい限りです……」
「ホント気にしないで?『亜朗が亜朗だから好き』ってあんなに真っ直ぐに言って貰える亜朗ってスゲーなー!って思ってた♪」
ちょっと照れた様にはにかみながらそう言ってくれる湊斗を、俺は俺で『スゲーなー』って思う。
「ほんっと、お前ら分かってんの!?」
三つ子を横並びに正座させ、説教する千尋。
俯く三つ子。
「産まれた時は2000グラムも無くて小さかったみっちゃんは!今では180に迫る背丈なんだぞ!?」
「「「はい……」」」
「んで、亜朗は162しかないの!小さいの!」
「「「はい……」」」
コラコラコラ!千尋っ!三つ子っ!
「………ガキの時は亜朗の方が大きかったけど、今は違うんだからさ。怪我させたらどーすんの?」
「「「泣く…」」」
「バカ。みっちゃんが泣いて亜朗の怪我が治るのかよ」
「「「治らない……」」」
あ~ぁ、シュンとしちゃって……。
「千尋、もうその辺にしてあげて?俺、怪我してないし♪」
俺がそう声をかけると、三つ子は俺を見て涙ぐむ。
「「「ごめんねぇ、亜朗……」」」
「うん、大丈夫だよ♪」
こうやって、素直だから怒れないんだよねー。
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