*** 生徒会、接触 1 ***

2/7
3681人が本棚に入れています
本棚に追加
/2994ページ
「ん……?」 そっと頬を撫でられる感触に、意識が浮上する。 サラッ…と髪を鋤かれる優しい感触も。 「…………」 ふ、と目が覚めた。 あ、れ……?朝? 「おはよ、亜朗」 ん~……? まだ頭がボーっとしてる……。 目の前に……………千尋? 千尋が優しい顔で見下ろして……。 ……ぅん? …………え? 目の前? 俺、たった今起きたんだよね? 天井じゃなく、何で千尋の顔? 「ぅわぁぁぁぁぁ!!」 ゴッッ!!━━━━━━━━━━ 「「いっ……!」」 痛い痛い痛い! 全力で千尋に頭突きを喰らわせてしまった。 「~~っ、ご、ごめん」 「いや、こっちこそ……」 うぅ、痛みで涙出る……。 少し痛みが和らいで、ギュッと瞑っていた目を開けると、足元に自分の枕を発見。 「あれ?枕……」 「あぁ、邪魔だったから退かした♪」 あ、俺の寝相が悪い訳じゃなかったんだ。 ………って? 「退かした……」 クルッと振り返って本来の枕の定位置を確認。 ……そこには千尋の太腿。 「千尋?」 「何?」 「また膝枕?」 「うん。正確には腿だけど」 ……うん、そうだね。 腿枕とでも言えばいいのかい? 千尋はたまに、今日みたいに膝ま……腿枕を俺が寝てる隙にしてる事がある。 「顔、洗って来たら?」 「ん。今何時?」 「6時半」 ベッドから降りて洗面所に向かう。 …………千尋の腿枕で目が覚めた時の大半は……。 「……やっぱり……」 鏡に映る自分の顔を見て、涙の跡を見付ける。 さっきの頭突きで滲んだ涙じゃなく、普通に流れた涙の跡。 きっとまた、何か夢を見ていたに違いない。 いつ、その事に気付いたのか忘れてしまったけど、千尋が腿枕をしてくれた時は、目が覚めてから震えてる事が無い。 覚えてもいない夢から醒めて、苦しくて、怖くて……1人で震えて泣く事が、無い。 千尋は、うなされてたよ、とか、泣いてたけど大丈夫?、とか一切言わないから。 だから俺も涙の跡に気付いてない振りをしてるけど。 ……本当に、ありがとう……。
/2994ページ

最初のコメントを投稿しよう!