*** 一緒に泣きたい side 5人 ***

5/5
3692人が本棚に入れています
本棚に追加
/2994ページ
もしかしたら、いつの日か、4人のその感情は恋愛感情へと変化するかも知れない。 でも絶対に、亜朗に対して悲しませたり、苦しませたりする様な事をしないのは、千尋の目にも、三つ子の目にも明らか。 だからこそ、もしそうなったとしても、あの4人には何も言えない。 もし、万が一亜朗があの4人の内の誰かを、最愛の人として選ぶなら、それを受け入れる事しか出来ない。 「ん?あ、そっか」 突然何か閃いたのか、千尋が頷いている。 「何?」と4人に問われ、千尋はニッコリ笑い掛けた。 「亜朗が俺らの事、もっと好きになればいんだよ」 「俺らの事、もっと意識してドキドキして、全身から好き…ってオーラが出てくれれば、あの可愛いさの亜朗に下手な事できる程、強いメンタルの奴なんていないんじゃない?」 不敵に笑う千尋。 それを見た4人も、不敵に笑った。 「…それ、一理あるね♪いいんじゃない?」 「誰の目にも、亜朗が俺らを好きって、見ただけで分かっちゃえばいい訳かぁ♪」 「すげーいいね!デロデロに甘やかして良くて、結果、亜朗横取りしようとする奴らから守れるって事デショ?」 「亜朗、人前なのにって言って止めさせようとしそうだけど、亜朗の為、って言えるしね♪」 とても楽しそうに笑う5人は、普段絶対に亜朗には見せない様な表情をしている。 「もう少し、亜朗にはドキドキして貰いましょうねー?」 ペロッ、と薄く舌を出して上唇を少し舐める千尋に、ニヤッと笑い返す4人。 「……でも、亜朗にそういう意味で触るのは無しね……」 ふと、想が自分の両手を見詰める。 以前、倒れそうになった亜朗を抱き止めた時、亜朗から想に抱き着いて来た事があった。 平静を装ったが、かなりドキドキしたのを思い出す。 「…そりゃそうだよ……」 「……止められる自信ないデショ?皆」 「止まらない自信がむしろある」 「ホント、それ無しな……亜朗泣くから、絶対」 最後の千尋の言葉に、泣かせたくはないよなぁ、と4人は揃って呟く。 何だかんだ言いながらも、結局は亜朗を最優先で考える5人。 亜朗は、甘い言葉を言えば、真っ赤になって照れるだろう。 それはいつ見ても可愛い。触れたくなる。 でも、触りたいけど、触らない。 亜朗が大事だから。 …………千尋も三つ子も、湊斗だって。 亜朗を傷付けたくはないのだ…………。
/2994ページ

最初のコメントを投稿しよう!