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*** 好きな子 1 ***
6月中旬。
そろそろ夏を迎えようかとしている北海道。
入学して早2ヵ月。
新入生歓迎式典やらテストやら、短期間で色々な事があったけど、いよいよ本格的に楽しみな行事が近付いてますっっ!!
「亜朗っ!跳べっっ!!」
「任せてっっ!!」
ズドンッッ!!━━━━━
「っし!!」
キャアァァァァ!━━━━━
ガッツポーズをする俺に、黄色い歓声が届く。
「相変わらず跳ぶねぇ、亜朗♪」
ニコニコして駆け寄って来た釉とハイタッチ。
「釉のトス、すっごく打ちやすいよー♪」
「亜朗が何センチ跳ぶか、分かってるからだよー♪」
「えー、それホントなら怖いー♪」
キャッキャッとはしゃぐ俺と釉。
今は5~6限と更には放課後までぶっ通しで外部クラス合同の体育の時間。
5クラス入れる体育館は、ホントに馬鹿デカい。
今月末に内部生徒会主催で行われる球技大会に向けて、体慣らしと、誰がどの種目に出るのかを決める為、一通り試合をこなしている。
「桜岡っ!次バスケやってみて!」
「はーい♪」
バスケ部の小林に呼ばれて、俺はバスケットコートに向かって走り出す。
バレーも好きだけど、バスケも好きー♪
バスケットコートで待ち構えていたのは、バスケ部の面々。
新入生歓迎式典の時に、俺のジャンプ力は1年生の皆の知るところになっている為、やたらとディフェンスの壁が厚い。
それでも、得意の3ポイントシュートを何本か決めてから、次はサッカー部の佐々木に呼ばれて、併設されてるグラウンドへ走る。
サッカーはあまり得意じゃない。
俺、小さいからフィジカルが弱い。
当たられると大体負けてしまう。
「ちっひろーーっ!」
だから、千尋と組めば当たられる前にどんどんパス出せるから、それなりにこなせる。
千尋は俺の思考を大体理解してくれてるから、ちょっと他の人なら受け取れなさそうな突飛なコースへのパスでも、簡単に受け取ってくれちゃう。
千尋が何本かゴールを決めて、俺と千尋はサッカーの試合から抜けた。
「ふぁ、疲れた~!」
ドサッ━━━
サッカーコートの横の芝生に、着ていたジャージの上を放り投げて寝転ぶ。
「ホント…つっかれたぁ…」
隣に千尋が腰を下ろして、項垂れる。
「マジ、小林も佐々木も岡本も容赦ない…」
ちなみに岡本は、クラスメイトでバレー部。
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