*** 好きな子 1 ***

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どこ学校の球技大会もそうだと思うけど、その競技の部活に所属している生徒は、球技大会ではその種目に出られない。 その為、その部活の部員達が対戦相手となり、試合を行い、自分のクラスメイトの中から球技大会でその種目に出場する人を見極める。 学年主任の我らが担任の田中先生は、もし万が一にも1年生でありながら、総合優勝した暁には、クラス全員に焼き肉を奢ると言って、いとも簡単に俺らの闘争心に火を付けたのだ。 俺ら1-Jの気合いは、そうしてこの練習試合に現れいた。 ……小林、佐々木、岡本がやたらと熱血なのも頷ける。 俺も久々に焼き肉行きたい。 「ちょっと水飲んで来るねー」 ヨッ、と反動を付けて立ち上がり、今いる芝生とはサッカーコートを挟んで反対側にある、水飲み場へと向かう。 キュッ、と蛇口を捻って、ジャバジャバ勢い良く出る水に口を付けた。 ガブガブと喉を鳴らして飲み込む。 「ぷはっ…!」 ……生き返るー……。 屈んだまま、はーーーっと息を吐く。 ボタボタと口元と顎から、飲み込み切れなかった水滴が落ちて足元に丸い染みを作った。 「━━━…ろぅ…!…ぁろー…!」 ん?呼ばれてる? 顔を上げれば、さっきまで俺もいた芝生の上に三つ子と湊斗も集合していた。 で、何故か全員、俺にTシャツの裾を下に引っ張って見せて来る。 ………ん?何か付いてるのかな? グイ、と自分のTシャツの裾を引っ張って確認するけど、別に普通。 手をそのままに5人を見れば、何故か両腕で大きく○を作っていたり、頷いていたり。 ……何…?分かんないや…。 ポタッ、とまた顎から水滴が落ちる感触。 …あ、Tシャツでいいや。 水滴が肌を滑る感触が落ち着かなくて、俺はそのまま手で握っているTシャツの裾を口元に持ち上げた。 「「「「「ストォォォッップッッ!!」」」」」 反対側から5人が叫ぶけど、そのままグイ、と口元を拭った。 ━━━━━━━━━…………ザワッ ………………ん? 何か、周りの空気がザワついた……?
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