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「ぶぁははははははっ!!桜岡めんこいじゃんっ!!」
更衣室から戻った俺を、佐々木の大爆笑が迎えてくれた。
佐々木の爆笑に、自然と周囲の視線が集まって来る。
「おぉ、これはめんこい!」
「Tシャツ、葉ちゃんの?」
「ぶっかぶかデショ!」
わらわらとクラスメイト達が集まって来て、口々に俺の格好を見て笑う。
…………むーー……。
葉のTシャツが、自分で思ってたよりも大きかった事と、皆のニヤけた笑いが面白くなくて、つい膨れっ面になってしまう。
「亜朗、涼しくなって良かったね?」
膨れっ面の俺を見た葉が、ポン、と俺の頭に手を遣る。
「ぁ、うん…」
いつも通りの優しい笑顔で俺を見詰める葉を、俺はまたちょっとドキドキしながら見詰め返す。
……『好きな子』、がまだ尾を引いてるし……。
葉のその笑顔……俺にしか見せてないよなぁ……とか、思ったり……。
「「「「……………………ん……?」」」」
「……ぁれ、何……桜岡…」
「なんつー顔……」
「まるで……葉ちゃんの事……」
「亜朗、こっちおいで。次はバレーだよね?」
一瞬、何やらザワついたクラスメイト達の話し声から耳を塞ぐ様に、葉に肩を抱かれた。
ふわっ、と葉の香水の匂いが漂う。
隣で俺の肩を抱く葉からと、自分が着ている葉のTシャツからも少しスパイシーな匂いが鼻を突き、何だかクラクラする。
「あ♪亜朗~♪」
釉がブンブン手を振って俺を呼ぶ。
「…!…あらら………葉、何言ったの?」
急に釉が俺の顔を見て、何の事か分からない事を言う。
すると葉は、俺の肩から腕を離して、コソッと釉に耳打ちをした。
「あぁ!成る程ね~ぇ」
納得したのか、釉がニヤニヤと俺を見てくる。
「何、2人共ニヤニヤしちゃって…」
俺が睨み付けると、2人は楽しそうに笑った。
「「亜朗が可愛いなぁ、って♪」」
ハモって、2人で俺の頭をグリグリ撫でる。
……何か良く分かんないけど、葉と釉が楽しそうだからいっかな……。
「桜岡と釉ちゃん入ってー!試合やるよー!」
バレーに出る事になった小林に、呼ばれて俺は釉と一緒にコートに入る。
「桜岡、最初セッターやってって、岡本が言ってたわ」
「ん、分かったー」
こないだは釉がセッターをやってくれて、俺がガンガン打ってたけど、どうやらそれは封印するらしい。
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