*** 好きな子 2 ***

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「ぶぁははははははっ!!桜岡めんこいじゃんっ!!」 更衣室から戻った俺を、佐々木の大爆笑が迎えてくれた。 佐々木の爆笑に、自然と周囲の視線が集まって来る。 「おぉ、これはめんこい!」 「Tシャツ、葉ちゃんの?」 「ぶっかぶかデショ!」 わらわらとクラスメイト達が集まって来て、口々に俺の格好を見て笑う。 …………むーー……。 葉のTシャツが、自分で思ってたよりも大きかった事と、皆のニヤけた笑いが面白くなくて、つい膨れっ面になってしまう。 「亜朗、涼しくなって良かったね?」 膨れっ面の俺を見た葉が、ポン、と俺の頭に手を遣る。 「ぁ、うん…」 いつも通りの優しい笑顔で俺を見詰める葉を、俺はまたちょっとドキドキしながら見詰め返す。 ……『好きな子』、がまだ尾を引いてるし……。 葉のその笑顔……俺にしか見せてないよなぁ……とか、思ったり……。 「「「「……………………ん……?」」」」 「……ぁれ、何……桜岡…」 「なんつー顔……」 「まるで……葉ちゃんの事……」 「亜朗、こっちおいで。次はバレーだよね?」 一瞬、何やらザワついたクラスメイト達の話し声から耳を塞ぐ様に、葉に肩を抱かれた。 ふわっ、と葉の香水の匂いが漂う。 隣で俺の肩を抱く葉からと、自分が着ている葉のTシャツからも少しスパイシーな匂いが鼻を突き、何だかクラクラする。 「あ♪亜朗~♪」 釉がブンブン手を振って俺を呼ぶ。 「…!…あらら………葉、何言ったの?」 急に釉が俺の顔を見て、何の事か分からない事を言う。 すると葉は、俺の肩から腕を離して、コソッと釉に耳打ちをした。 「あぁ!成る程ね~ぇ」 納得したのか、釉がニヤニヤと俺を見てくる。 「何、2人共ニヤニヤしちゃって…」 俺が睨み付けると、2人は楽しそうに笑った。 「「亜朗が可愛いなぁ、って♪」」 ハモって、2人で俺の頭をグリグリ撫でる。 ……何か良く分かんないけど、葉と釉が楽しそうだからいっかな……。 「桜岡と釉ちゃん入ってー!試合やるよー!」 バレーに出る事になった小林に、呼ばれて俺は釉と一緒にコートに入る。 「桜岡、最初セッターやってって、岡本が言ってたわ」 「ん、分かったー」 こないだは釉がセッターをやってくれて、俺がガンガン打ってたけど、どうやらそれは封印するらしい。
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