*** 好きな子 2 ***

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「…亜朗、サッカーの試合、次だから迎えに来た」 ヒョコ、と想が戸口から顔を出す。 「あ♪想ー♪」 釉が楽しそうに想に手招きをした。 「何?」 「ちょっと耳貸して」 「……何さ」 靴を脱いで、想が体育館内にトコトコ入って来ると、釉は突然タオルで俺の頭をササッと包んで顎の下でキュッと結ぶ。 ………………何これ……。 完全におかしいでしょ……。 結び目をほどこうとして、顎の下でモゾモゾ指を動かしながら、釉と想を見る。 釉に耳打ちされながら、想が俺を見て笑う。 ……俺がなかなか結び目を解せないのを笑ってるな? 想の耳元から顔を離して、釉が想の肩を叩く。 ……お、ほどけそう……♪ ……よっし! 「へぇ~♪そうなんだ…♪」 タオルを外した瞬間、聞こえて来たのは想の意地悪そうな声。 嫌な予感がして、バッ!と想と釉を見れば、案の定ニヤニヤ笑う2人が俺を見ていた。 ………………何なのさ……っ! 「じゃ、とりあえず亜朗貰ってくよ」 俺が手に持っていたタオルを取り上げて釉に放り投げた想が、俺の肩をポン、と叩く。 「行こっか?」 ニコッといつもみたいに笑う想に、何だかホッとする。 「うん♪じゃーね、サッカーの方いってきます!」 釉と小林達に手を振って、歩き出した想を追い掛けた。 「あれ?千尋と湊斗は?」 サッカーに出るのは、俺と千尋と想と湊斗。 今、2つあるサッカーコートでは、内部生と外部生が1つずつ使用して試合中。 今日の放課後は、1年生が好きなだけここのグラウンドを使って良い事になっている。 学校から少し離れた敷地に、あと2つグラウンドがあって、今日は2年生と3年生はそっちで練習中。 ちなみに日替わり交代制。 「さっき純介先輩が大量のサッカーボール運んでて、それ手伝いに行ったよ。俺は亜朗のお迎え係で残った」 芝生の上に座り、自分の隣をポンポン、と叩いて俺を呼ぶ。 「第2グラウンドまで行ったの?」 「多分ね」 「そっか」 想の隣にストン、と座る。
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