*** 好きな子 2 ***

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…………想は、釉と葉に比べたら口数…というか、話す言葉数が少ない。 だからかな……何か落ち着く……。 目の前では、外部生のGクラスとKクラスのサッカーの練習試合が行われている。 その光景を、お互い無言で見詰める。 さわさわ、と心地好い風が吹いて、俺はさっきまでのドキドキが落ち着いて、穏やかな気分になってきた。 …………やっぱり、想との無言の時間は、気分が落ち着くなぁ……。 チラリ、と隣の想を見れば、俺の視線に気付いてこっちを見た想と目が合った。 「……ん?どうしたの?」 想がニコッと微笑んでくれた。 「…想といると、落ち着くなぁ、と思ってた」 自然と笑みが溢れる。 「そぅ?嬉しいよ」 想の大きな手で柔らかく頭を撫でられて、その気持ち良さに目を閉じる。 「亜朗くんっ!」 名前を呼ばれて、ぱち、と目を開ける。 聞き覚えのある声に、声の聞こえた後ろを振り返ると、フェンスの向こうに奏多がいて、俺に手を振っていた。 「奏多っ!」 俺は立ち上がり、奏多の所に走って行く。 「何か久々な気がするねー」 「ホントだねっ」 2人で笑う。 「亜朗くん、サッカー出るの?」 奏多に聞かれて俺は頷いた。 「うん、一応ね。あまり得意じゃないんだけど。奏多は?」 「僕もサッカー出るよ♪今は外部生クラスの偵察に来たんだ」 奏多が堂々と偵察、と言ってしまうと、奏多と一緒にいた奏多のチームメイトがガク、と肩を落とす。 初めて会った人だな、と思って挨拶をする。 向こうも気さくに挨拶をしてくれたので、内部外部の拘りの無い人達なんだな、と分かる。 フェンスを挟んで、少し楽しく喋っていたら、突然目の前の奏多の目が見開かれた。 俺の背後を見ている。 「亜朗くんっっ!後ろっっ!」 「え…」 「亜朗ッッッ!!」 想の焦った様な声に振り返ると、サッカーボールが見事に俺に向かって飛んで来ていた。 というか、もう、目の前。 ……当たるっっ…………っ!! ガバッッ!!━━━━━━━ 大きい何かに、包まれた。
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