*** 好きな子 2 ***

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保健室で竹内先生に肩を見て貰う想の側を離れられない。 「竹内先生、どうですかっ…?」 「赤くなってるだけで、何ともないですよ?頑丈ですね」 不安そうな俺を安心させる様に、笑顔で答えてくれる竹内先生。 念の為、と湿布を貼って貰った想がTシャツを頭から被って袖を通す。 「ご、ごめんね、想……何ともなくて良か……ぅぷ」 言い終わらない内に、椅子から立ち上がった想が俺の腕を引き、胸の中に抱き締める。 「…何で亜朗が謝るのさ?悪いのは下手くそな鈴木でしょ?」 俺は身動ぎして、想の腕から逃れようとする。 ……まだ、震えてるから……。 「でも……、俺が気を付けてれば…っ!」 想の腕に力が籠り、俺が離れようとするのを許さない。 「気を付けるも何も、普通あんな勢いでボール飛んで来るなんて思わないよ」 「で、でも…っ…!」 ……………それでも……想が怪我しそうになった……。 はぁ…、と想が呆れた様に、溜め息を吐く。 「……もう黙んなよ、亜朗」 溜め息と共に、想は俺の後頭部に手を遣り、ギュッと自分の胸に俺の顔を押し付けると、言葉通りに俺は口を塞がれて喋れなくなる。 「大丈夫だから………どうせなら、ごめんじゃなくて、ありがとうって言ってよ……」 想の大きな手で頭を撫でられる。 「……もー、何から言っていいか分かんないけど…………とにかく、俺だって男なんだから、自分の『好きな子』1人守るくらい余裕なんだよ?」 ………………っ! 想が俺の頭を撫で続ける。 ……ま、また………っ……。 …………『好きな子』、出た…………。 「……っ……」 心臓がキュウ…、と切なく締め付けられる。 …………ドキドキする…………。 「ふふっ、想君は本当に桜岡君の事、大好きなんですね」 …………!! 竹内先生の声に、俺は先生の存在を漸く思い出す。 ……みっ、見られてた……よね……!? 今のやり取りが恥ずかしくて、とパッと想の胸から顔を離す。 「あらら、随分な表情ですねぇ」 クスクスと竹内先生が笑う。 …………俺、今どんな顔してるの……? 恥ずかしさで、俺は両手で自分の顔を覆う。 「……見ないで下さい……」 呟くと、竹内先生は楽しそうに笑った。
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