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「竹内先生、あまり亜朗をからかわないで下さい」
不機嫌そうな想の声がして、フワリ、と抱き締められた。
俺の顔を隠すような抱き締め方に、想の優しさを感じて俺の心臓はまたドキドキする。
……も、……今日の三つ子……変だよ…………。
「はい、すみません。もうしません♪」
またクスクス笑う竹内先生。
「…亜朗、戻ろっか?」
想に頭をポン、と優しく叩かれて俺は両手を離して、コク、と頷く。
「……戻る……」
…………何かもぅ、今日は三つ子のせいでドキドキしっぱなし……。
サッカーで思い切り走りたい気分……。
という訳で、俺は今全力で走ってますっっ!!
「桜岡っっ!自分で持ってけっっ!!」
ドリブルで走る俺に、岡本の声がかかる。
「わぁかってるっっっ!!」
相手に当たられるより先に、グラウンドを駆け抜ける。
「誰か桜岡止めろって!!」
「無理っっ!!速すぎっっ!!」
後ろから、相手チームの声が聞こえて来る。
掴みに来た相手をクルリ、と回ってかわし。
スライディングに来た相手をフワリ、と飛んでかわす。
ゴール前、キーパーと1対1になり、勢いのまま全力でシュート……ッッ!!
……は、せずにトンッ…、と浮かせる。
パスッッ……━━━━━━━━━━
ボールがネットを揺らした。
キャァァァァァ!━━━━━━━
「桜岡くんカッコいいーーーっ!!」
「こっち見てーーっ!」
キャアキャアと黄色い歓声に、俺は気分良くそっちを見てニカッと笑ってピースサイン。
キャァァァァァ!━━━━━━━
何だか分かんないけど、凄い人数の応援に嬉しくなった俺は手を振って歓声に応えた。
「亜朗、イケメンモード入ってる……」
「みっちゃん達やり過ぎ……」
「……『好きな子』って言うと、凄い可愛い顔するから、つい……ホント、ごめん……」
何故か自陣で項垂れる千尋と湊斗と想の元に駆け寄る。
「見てた?見てた?俺、結構サッカー出来る子だったみたい♪」
そう言って笑う俺に、3人は何だか生暖かい微笑みを送ってくるのだった……━━━━━━━━━━
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