*** 好きな子 2 ***

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「竹内先生、あまり亜朗をからかわないで下さい」 不機嫌そうな想の声がして、フワリ、と抱き締められた。 俺の顔を隠すような抱き締め方に、想の優しさを感じて俺の心臓はまたドキドキする。 ……も、……今日の三つ子……変だよ…………。 「はい、すみません。もうしません♪」 またクスクス笑う竹内先生。 「…亜朗、戻ろっか?」 想に頭をポン、と優しく叩かれて俺は両手を離して、コク、と頷く。 「……戻る……」 …………何かもぅ、今日は三つ子のせいでドキドキしっぱなし……。 サッカーで思い切り走りたい気分……。 という訳で、俺は今全力で走ってますっっ!! 「桜岡っっ!自分で持ってけっっ!!」 ドリブルで走る俺に、岡本の声がかかる。 「わぁかってるっっっ!!」 相手に当たられるより先に、グラウンドを駆け抜ける。 「誰か桜岡止めろって!!」 「無理っっ!!速すぎっっ!!」 後ろから、相手チームの声が聞こえて来る。 掴みに来た相手をクルリ、と回ってかわし。 スライディングに来た相手をフワリ、と飛んでかわす。 ゴール前、キーパーと1対1になり、勢いのまま全力でシュート……ッッ!! ……は、せずにトンッ…、と浮かせる。 パスッッ……━━━━━━━━━━ ボールがネットを揺らした。 キャァァァァァ!━━━━━━━ 「桜岡くんカッコいいーーーっ!!」 「こっち見てーーっ!」 キャアキャアと黄色い歓声に、俺は気分良くそっちを見てニカッと笑ってピースサイン。 キャァァァァァ!━━━━━━━ 何だか分かんないけど、凄い人数の応援に嬉しくなった俺は手を振って歓声に応えた。 「亜朗、イケメンモード入ってる……」 「みっちゃん達やり過ぎ……」 「……『好きな子』って言うと、凄い可愛い顔するから、つい……ホント、ごめん……」 何故か自陣で項垂れる千尋と湊斗と想の元に駆け寄る。 「見てた?見てた?俺、結構サッカー出来る子だったみたい♪」 そう言って笑う俺に、3人は何だか生暖かい微笑みを送ってくるのだった……━━━━━━━━━━
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