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直ぐに千尋はこっちに戻って来た。
「千尋、今の人どしたの?」
「ん?……っと、告白ってやつ?」
「え……っ!?」
問い掛ければ、ニッコリ笑ってそう答えた割りに目が笑ってない。
……ホントに告白……?
「千尋モテモテだね~♪」
笑う釉と、何故か心配そうな葉が千尋を囲む。
「……で…カメラ……」
「……撮ろうと……」
「……まだ撮ってなかっ…」
「次もし……」
「……目、潰して…」
んん……?何か物騒な単語が聞こえた気が………。
「亜朗、千尋に何か用事あるんじゃないの?」
思考を遮るように想に声を掛けられ、ハッとする。
そうだった!
「千尋!大地(ダイチ)さん来てくれって!」
俺が声を掛けると、千尋は俺の方に歩み寄る。
「……何の用だって?」
「それは聞いてない」
「……まぁ、取り敢えず行くか」
「職員室の更に奥だって」
千尋は「行こ」と俺の背中をポンッとしてから、湊斗に声を掛ける。
「湊斗、三つ子に聞いといていいから」
「……!ありがと!」
大地さん、て単語が出てから、湊斗がそれ誰?って顔してたのを千尋は見逃していなかった。
流石、気遣いが細かい。
千尋のそういうとこ、凄くカッコイイ思う!
「「失礼しまぁす!」」
ガチャ━━━━━━━
『理事長室』とプレートの下げられたドアを開ける。
「亜朗くん!千尋!待ってたよー♪」
ガタッ!と立派な椅子から立ち上がり両手を広げて嬉しそうに駆け寄って………
グイッ!━━━━━━━━━
ガシッ!━━━━━━━━━
「やめろ」
「いだだだだっ!」
咄嗟に、千尋の右腕は俺を力強く自分の胸に抱き寄せ、左手で駆け寄って来たその人の顔面を鷲掴み。
「千尋ぉ……」
その人の本気で痛がる様子に、抱かれた胸の中から千尋を宥めるように呼ぶと、千尋は、ふ、と視線を寄越して俺と目が合う。
そしてニンマリ笑った。
「やっばい!このアングルめっちゃ可愛い♪」
「ちょ、千尋っ!」
頭にチュッチュすんの止めなさいっっ!!
「ちょっ、僕の事忘れてないっ!?」
顔面鷲掴みされながら叫ぶ人。
「久々の再会なのに、千尋の僕の扱い酷くない!?」
「その顔見るとつい」
「酷いっ!!」
ソファに座り、千尋とその人の会話に俺は苦笑い。
……昔から変わらないなー。
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