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千尋に雑に扱われているこの人。
実はこの皐月学園の理事長。
鷹取 大地(タカトリ ダイチ)さん。
そして千尋の叔父。太陽パパの2コ下の弟。
皐月学園を経営する鷹取グループの長女・香緒里(カオリ)さんの婿に入った為、名字が違う。
「おっさんに抱き着かれる趣味は無い」
「亜朗くんが5分で行くって返事くれたのに中々来ないから寂しかったんだよー」
「スミマセン……」
「亜朗は悪くねぇよ」
そこで大地さんが微笑みながら首を傾げる。
「何か、あった?」
「………………チッ」
舌打ちっ!?返事しない上に舌打ちしたっ!?
「大地さん、千尋ってば早速さっき告白されてたらしいんですよー」
「……!……へぇ、それはそれは……♪」
俺の言葉を聞いて、ほんの少し大地さんの空気が変わった………?
「てか何の用事?嫌な予感しかしないんだけど?」
………千尋、目上の方はもっと敬おう……?
「あ、それね。実は折り入って亜朗くんにお願いがあるんだ」
「?お願い、ですか?」
「うん♪いいかな?」
隣に座る千尋がイライラしてるのが伝わってくるけど、何も言わない。
「いいですよ♪俺に出来る事ならやります♪」
「失礼しましたー」
「………」
理事長室を出てドアを閉めると、無言だった千尋が腕を伸ばして来て俺を抱き締めた。
「……クッソ…………」
「千尋?どーしたの?そんなにイライラして……」
千尋の背中をゆっくり擦ってあげる。
「……全部分かってんだよ、大地の考えてる事なんて……全部。だから……ムカつく……っ!」
「………千尋……」
独り言の様に呟く千尋。
いつもは余裕のある態度の千尋が、感情を顕にするのは珍しい。
「千尋?俺、大丈夫だよ?全然大変な事じゃないよ?話し聞くだけなんだから」
大地さんのお願いというのは、内部外部に拘らなくていいんじゃないか?と思っている生徒の話しを聞く事だった。
無理に探す必要もないし、それっぽい会話や場面があったら、さりげなく輪に入って内容を聞いて、それを大地さんに伝える、という事だけ。
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