*** 生徒会、接触 1 ***

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俺は咄嗟に駆け寄り、スマホを拾う。 「あの、スマホ落としてますよ」 声を掛けてから気付いた。 「あ……」 ボルドーカラーのネクタイの刺繍は、白。 2年の、内部生……。 俺は、外部生だから、という拘りは無いし、出来るなら外部も内部も関係無く友達を増やしていけたらいいな、と思っている。 でも、相手もそうとは限らない。 …………いやいや、こっちがそれを気にしてちゃ仲良くなんてなれない! 「あの、大丈夫ですか?」 何だかボーッとしてたその人に、更に声を掛けると漸く俺を見た。 身長はそんなに高くないけど、スラッとして綺麗な人。 俺が言うのもあれだけど、この人も女顔だなぁ。 フレームレスの眼鏡が似合ってる……眼鏡美人。 「君は?僕に何か用ですか?」 チラリとネクタイを確認される。 あれ?聞こえて無かったのかな? 「えっと、このスマホ……先輩の、ですか?」 「……っ!……あぁ、……いや、そう……ですが…」 ……急に泣きそうに顔を歪める先輩。 「どっか具合でも?」 千尋が追い付いて、先輩に尋ねる。 千尋のネクタイもチラリと確認してから、先輩は首を弱々しく横に振る。 「ありがとうございます。でも……もういらないんです……」 そっと俺の手からスマホを受け取る。 その手は微かにだけど震えていた。 「どうし」 「君達、外部の1年ですよね?」 どうして、と聞こうとした俺の言葉を遮るように先輩は言葉を続ける。 「知ってると思いますが、あまり無闇にこうやって声を掛けない方がいいですよ。対抗心剥き出しの内部生だったら、何言われるか分からないですから」 ……何でそんなに寂しそうに言うんだろう。 「では、コレありがとうございました」 スマホを軽く掲げると、反対の手で俺の頭をポン、とする。 「優しい恋人ですね。大事にしてあげて下さい」 最後は千尋に向けて寂しそうに、笑った。 「そんなに恋人同士に見えんのかね?」 先輩の後ろ姿を見送りながら、千尋が呟く。 「さぁ?……でも、そういうの気になっちゃう時って、自分がそれで悩んでる時だよね……」 「……やっぱ亜朗もそう思う?」 「まぁね」 まぁ、さっき忠告されたし、あまり積極的に突っ込んでは行けないけど……。 無理して笑ってるのを見るのは……… 痛いんだよ…………。
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