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「……んだテメェ!手ぇ離」
ガシッ!━━━━━━━━━━
「いっ…!ぃてぇって……っ!」
釉の肩に伸ばされた手を想が掴んで、そのまま捻り上げる。
「……あのさぁ、さっきの。俺に教えてくれないかな?そしたらお礼に、人の腕がどこをどうやったら簡単に折れるのか……教えてあげるよ。ね?」
「い……っ!」
ギリギリと力が加えられ、徐々に腕がおかしな方向へ曲がってゆく。
「釉っ!想っ!やめろって!」
湊斗が釉と想の腕を引き剥がそうとするが、全くビクともしない。
(……っ!!なんつー筋肉してんだよっ!!)
残る1人が怯えた目で葉を見る。
「な、なぁ、謝るから。ほんの冗談のつもりだったんだよ。そんなに怒るなって……な?」
「冗談……?」
ゆっくりと葉が近付くと、相手はジリジリと後退りする。
「冗談で他人の事イヤらしい目で見といて、自分が危ない目に遭いそうになったら許して欲しいだって?冗談キッツいよ」
葉の手が、相手の制服の襟を掴む。
「知ってる?言葉は声に出したら最後、取り消せないんだよ?……絶対に」
相手の怯える瞳に映り込んだ葉が、ニヤリ、と笑う。
「……不愉快すぎて、『殺したく』なっちゃった……」
ギリッと葉の手に力が篭った。
「葉っ!もうコイツ腰抜けてっから!離してやれって!」
湊斗の言葉通り、相手は足が震えてグラついている。
「はいはいそこまでー!」
突然、この場の緊張感に似つかわしくない声が響いた。
声のした方に湊斗が顔を向ける。
そこには、小柄な生徒が1人。
「あ、天山(アマヤマ)会長……っ!」
葉に襟を掴まれていた相手が驚いた声で、その名前を呼ぶ。
天山と呼ばれた生徒のネクタイは、チャコールグレーに白の刺繍。
「内部生徒会の……会長……?」
スタスタと近付いて来ると、その場の全員を見渡す。
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