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「校内での喧嘩は認めてないんだけどな?」
どこか呆けた調子のその言葉に、三つ子は漸くそれぞれの手を離す。
「天山会長っ!俺らは何もしてないです!」
「暴力振るったのはコイツらです!」
「会長も今見ましたよね!?」
「お前ら……っ!」
転がる様にして、天山会長の側に行った3人の言い訳っぷりに、湊斗が掴みかかろうとすると、スッ、と天山会長に右手で制された。
「お前らさ、外部生なんかと絡むな、内部の品格が落ちる、って何回言えば分かる?」
外部生なんか、という言葉に湊斗がグッと怒りを抑える。
「でも会長……っ!」
「うるさい。今回の件、俺は内部の会長だから、お前らの言う事を全面的に信用するよ」
「なっ……!」
何て馬鹿な事を、と湊斗が言い掛けた時。
「……だから一から十まで、正直にぜ~んぶ、俺に説明してくれる?……嘘は……バレると思えよ?」
「……!」
ビクッ、と僅かに体が動く。
天山会長は、見た目は小柄でやんちゃな中学生といった風貌だが、見た目に反して鋭いらしい。
「まぁ、今言えないなら後からでも聞くわ。行け」
しっしっと手で3人を追い払う。
「さて、こっちの三つ子はどうするかな?」
三つ子と湊斗を見て、わざとらしく顔をしかめる。
「……あ、あのっ!一方的に向こうの言い分だけを信用するというのは、あまりにも乱暴すぎませんかっ……!?」
真っ先に口を開いた湊斗。
その湊斗をジッ、と見詰める天山会長は何も言わない。
「天山会長っ!」
何も言わない事に苛立った湊斗が、一歩近付く。
すると、横から想に肩に手を掛けて止められた。
「……湊斗、大丈夫」
「え……?」
葉が言葉を続ける。
「この人、ずっと見てた。そこの陰から」
「えぇっ!?」
湊斗が視線を向ければ、天山会長はニッと笑った。
「…………じゃ、何ですぐ止めてくれないんすか~」
気が抜けたのか、やや 砕けた口調の湊斗。
「いや、そこの三つ子も本気で殺しはしなさそうだったから……っていうのと、さっきのアイツらあーゆー奴らだから、本物の殺気でビビればいーや、って思ってた♪」
楽しそうに笑う天山会長に、湊斗は苦笑する。
「あとは……、君の存在かな?」
「俺、ですか?」
うん、と素直に頷く。
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