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「ふっ…ざけんなっ…!」
ガタンッ!
釉が勢い良く立ち上がった拍子に椅子が倒れた。
まぁ、三つ子が怒るのは予想通り。
「釉、落ち着いて」
「落、ち、着、け、な、いっっ!」
俺が宥めようとするも、被せ気味に一言一句怒鳴り、ドスドスと足音を立てて俺に近付いて来る。
……わー、かなり怒ってる……。
ぃや、怒ってるっていうより………。
「あーーーちゃんはっ!俺らのっ!」
涙をいっぱい溜めて、椅子に座る俺の肩をギュウ、と掴む。
俺は黙って釉を見返す。
次の瞬間には、ポロポロと大粒の涙を流して。
「……離れていかないでぇ……」
急に語気が弱々しくなったかと思うと、フワリと抱き締められた。
あー、も~……困った……。
そう思っていたら、今まで黙ってた想と葉も側に来て、俺をギュウ、っと釉ごと抱き締める。
「…グス…あーちゃ…あーちゃん……」
「何で急に……俺らの事、キライ…?」
嫌いな訳ない。
「嫌いな訳ないよ?分かるでしょ?」
俺に引っ付く3つの頭をそっと撫でる。
「……じゃあ、どうして……?」
涙でビッチョビチョな顔を上げて問い掛ける想。
その泣き顔にズキ、と胸が痛む。
「皆の為、だよ?」
お願い、分かって欲しい。
「駄目……駄目だよ…俺、っ…あーちゃん」
「分からない…っぅ…何の為にも…ならな……」
…………………やっぱり駄目かぁ。
「やっぱ無理なんじゃない?亜朗」
「お母さんもまだ離れなくていいんじゃないかと思うわよー?」
「俺もそう思う~。息子らそーなっちゃ、もう話し聞く余裕ねーよ?」
「我が子ながら、その子らは重症よぉ」
……むーーーー。
息子の俺が頑張ってんのに、何だこの大人達は。
ダイニングテーブルの横で団子状態になってる俺と三つ子。
リビングのソファから事の成り行きを見ていた俺の両親と、三つ子の両親が口を挟む。
「諦めな、亜朗」
三つ子の父親・龍(リュウ)パパがダイニングに来て、俺の頭をポンポンする。
「でも……っ!」
諦め切れない俺が反論しようと口を開く。
「亜朗、往生際悪いよ?あんまり無理矢理な事するとこの子らの症状悪化しかねない。そうなったら、それはこの子らの母親として見過ごせない」
三つ子の母親・スミレさんに凄まれる。
……流石、元レディース………迫力違うね……。
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