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その後も部活動や委員会の紹介が続く。
…………ぅ~、あっつい………。
外気温が上がって来たのか、講堂の中もステンドグラスから降り注ぐ陽射しで着々と室温が上がってゆくのが分かる。
「ぁっちぃ…」
後ろで佐々木が小さく呟いたのを受けて、俺も返事の代わりに小さく頷く。
もうそろそろ終わるかなぁ……?
暑過ぎる…………。
ザワッ…━━━━━━━━━
……ん?
真ん中の辺りがザワついた……?
「あれヤバくね?」
小林が真ん中の方、俺らの位置より少し前方を指差しながら小声で話し掛けて来た。
「え?どこ?」
「っと、2列……前辺り」
椅子から少し腰を浮かせて、小林の指差す方に目を凝らすと、顔面蒼白でグラグラと揺れてる生徒が目に入った。
……っ!!
あれはヤバいっ!!
ザワザワッ…━━━━━━━━━━
ざわめきが大きくなる。
「吐くんじゃね?」
「ヤバいって!」
「ちょ、ここでかよっ!」
周辺の生徒が騒ぎ出した。
椅子から立ち上がって、距離を取ろうとする。
あ……っ!!
もーーーーっっ!!
そんな騒いだら緊張でますます具合悪くなるっ!!
あの人までの距離は……っ!?
素早く視線を巡らす。
2列前っ!
3列隣っっ!
ヤバいヤバいッッ!
今にも吐きそうに口元を押さえてるっっ!
「あーーーっ!もーーーーっ!」
突如叫んだ俺に注目が集まるけど、気にせずバサッ!とブレザーを脱ぐ。
ダンッ!━━━━━━━━━━━
「亜朗っっ!!」
椅子の上に立ち上り片足を小林の椅子の背もたれに掛けた所で、駆け寄って来た千尋がブレザーを投げて寄越したのをバサッ!と受け取る。
絶対間に合わせるっっ!!
千尋にアイコンタクトを送って叫ぶ。
「跳ぶから屈んでーーーーっっっ!!!」
叫ぶと同時に、椅子からジャンプ。
視線が集まる。
「っっりゃあっっ!!」
途中、椅子の背もたれに一回片足で乗り、反動を付けてまた跳ぶ。
目的の着地点に足が着く前に、千尋のブレザーをその生徒に頭から被せる。
ガターーーーンッッ!!!━━━━━━━━━━
着地と同時に俺のブレザーで口元を覆って、ギュッと頭を抱え込んであげた瞬間。
「ぉえええ………」
…………………間に合ったぁ……。
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