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その後、駆け付けた先生に連れられてその生徒は保健室に向かった。
「いてて……」
並ぶ椅子に突っ込んだせいで、体が痛い……。
「「「「亜朗っ!」」」」
千尋と三つ子が心配そうに俺の名前を呼ぶので、大丈夫大丈夫♪と、片手を上げて応えた。
「桜岡くんっ、君も保健室っっ!」
田中先生が駆け寄って来る。
「いや、大丈夫です」
「駄目です!ちゃんと診て貰わなきゃ!」
近付いて来た田中先生がコソッと小声で、シャツに付いてるから、と。
………あ、ホントだ。
あの生徒が吐いたのが、少しシャツに付いてしまってる。
全部受け止めてあげられなかったかー。
「さ、行くよ!」
「はぁい」
田中先生に着いて、講堂を後にする。
途中、心配そうな三つ子にニコッと笑い掛け。
無茶したな、と呆れ顔の千尋にニヤリと笑い。
湊斗は大丈夫か!?と講堂内のざわめきに負けない声量で声を掛けてくれたので、ピースで返す。
保健室に置いてある予備のカッターシャツを借りて着替える。
「田中先生、さっきの人は大丈夫ですか?」
「ええ、今そこのベッドで眠ってるそうです」
ネクタイを締めながら聞くと、返ってきたのは安心する答え。
うん、それなら良かった♪
シャッ!とベッドを囲っていたカーテンが開いて校医の竹内先生が出てくる。
「軽い熱中症ですね」
「講堂の中暑かった上に、彼の席はど真ん中でしたからね。暑かったでしょう」
田中先生が心配そうにベッドの方を見ながら応えた。
「嘔吐物を受け止めた方のブレザーはもう駄目ですので、取り敢えずですがカーディガンを貸しますね」
「ありがとうございます」
ゴソゴソと竹内先生がロッカーから取り出してくれたカーディガンを受け取って袖を通す。
………………うっ……!
サイズがデカい……っ!!
「すみません……カーディガンはそれが1番小さいサイズなんです……」
「きっ、気にしないで下さいっ!」
……謝られる方が傷付くんですよ、竹内先生?
「ブレザー、学校で保管してる予備の分を後で渡しますね。こういうパターンでブレザー駄目にするのは前例が無いですけど、ブレザー代はかからない様に理事長に言っておきますから」
理事長、ね。
じゃあ大丈夫かな。
入学2日目にして、2着目のブレザーとか……。
コンコン━━━━━━━━━
ガラッ━━━━━━━━━
「「失礼します」」
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