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保健室に入って来たのは2人。
眼鏡美じ……もとい、内部生徒会副会長の西園寺先輩と外部生徒会副会長の沼佐先輩だった。
「外部生のとった行動なんだから、内部は関係ないだろ?」
「いえ、体調不良になったのは内部生ですので、関係はありますよ、沼佐先輩」
やや言い争う形で室内に入って来る。
……あー、こんな感じなのね……。
「君達、寝てる生徒がいるんですよ?」
「「すみません」」
竹内先生に注意され謝ると、2人は俺の目の前迄近付いて来た。
…………騒ぎ、大きくなったから、怒られる……?
「君、名前は?」
「桜岡 亜朗です」
沼佐先輩に聞かれ、名乗る。
「あの生徒とは知り合い?」
「いいえ、全く」
今度は西園寺先輩に答える。
俺の返事を聞いて、2人はチラッと視線を交わすと、スッと頭を下げてきた。
「「ありがとう」」
「ぅわ、頭上げて下さいっ!」
突然何……っ!?
「今日は5月並みに気温が上がる、と天気予報で聞いたにも関わらず、講堂内の室温をきちんとコントロール出来ていなかったのは、今回主催の外部生徒会の責任だ。申し訳ない」
「内部生は誰一人として彼を助けようとしなかった中、桜岡君ともう1人だけが、彼の為に動いてくれました。あの場面でブレザーで顔を隠してくれなかったら、彼は皆の前で嘔吐した上に顔をみられた、と心に傷が付いてしまってたと思います。本当にありがとう」
2人の言葉に俺は心が暖かくなった。
きちんと、直ぐに謝罪に来てくれた外部生徒会。
あの人のこれからの学校生活を気に掛けてくれてる内部生徒会。
筋を通す両生徒会がとてもかっこ良く思えた。
「……彼が大丈夫なら、それだけで充分です。よね?」
俺がニッコリ笑うと2人の先輩は驚いた顔をする。
「……っ、なん、つー………」
沼佐先輩は少し俯いて、ガシガシ自分の頭を掻く。
………何か耳が赤い……?
「やっぱり優しいですね、君は」
………っ!
見惚れる程、西園寺先輩は綺麗に笑った。
やっぱりチョーーーー美人さんっっ!!
俺がその笑顔に照れていると、沼佐先輩がピクリ、と反応する。
「やっぱり、ってどういう事だ?西園寺」
西園寺先輩は無表情。
「まさか内部生徒会副会長のクセに、既に外部生の桜岡と面識があるのか?」
刺がある言い方にも西園寺先輩の表情は変わらない。
……やっぱりマズかったのか……!
どうしよう……。
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