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*** 生徒会、接触 2 side講堂 ***
亜朗が出て行った後の講堂は、ザワつきが止まない。
「さっきのすげーな!」
「かっこ良かった!」
「小さいのにめっちゃ跳んでたし!」
『『静かにっっ!!』』
両会長がマイク越しに叫ぶと、一瞬で講堂内は静まり返る。
「沼佐、彼らの様子を見て来い」
野崎会長が副会長の沼佐に指示を出す。
「西園寺、保健室行って来て。対応お願い」
天山会長も同じく副会長に指示する。
2人はそれぞれ「はい」と返事をすると小走りで講堂を出て行く。
『皆、恐らく彼は熱中症じゃないかと思われる。講堂内の室温を適切に管理出来なかった、こちらに非がある。非常に申し訳ない』
野崎会長が壇上から頭を下げる。
ポタ…と、額から汗が落ちた。
壇上の方が高い位置だけに、生徒会役員の暑さの方がしんどかったのが分かる。
『野崎会長はこう言ってくれているが、そこを踏まえた上で、具合が悪い人間に対して、直ぐ様動けた人間は何人いたか……自分の態度を振り返ってみて欲しい』
天山会長の言葉に、シーン…となる。
『……今回のこの件、この場限り、という事で具合の悪くなった彼に対して揶揄する様な事を言ったりする事の無いようにお願いしたい』
一旦上げていた頭を、再び下げる野崎会長。
『外部生徒会主催での出来事とは言え、会長自らここまで頭を下げている以上、内部の会長として俺からも余計な事を言ったりする事の無いように!という事で終わりにしたい。俺からは以上だ』
それでいいな野崎会長、と天山会長が締める。
その後は、新入生歓迎式典もほぼ終わりかけだった事もあり、再び整列し直しまた順にAクラスからの退場となる。
Fクラスの、1つポッカリと空いている席に視線を送る者はいても、揶揄する様な言葉や態度を取る者はいない。
両会長の言葉があったからだ。
「あーちゃん、絶対どっか怪我してる」
葉が悔しそうに唇を噛む。
「またあーゆー無茶な事…っ!」
釉が苛立った様子で自分の頭を掻きむしる。
「…俺らが…どんだけ不安に……なっ……て…っ」
想が涙を堪えて俯く。
「でもさ、アレが俺らのだーい好きな亜朗だと思わない?」
列を抜け出し三つ子の側まで来た千尋が、順番に三つ子の頭を撫でてあげる。
少し間が空いたが三つ子は確実に、力強く頷いた。
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