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「亜朗、いつまでも拗ねてないで学食行こ?」
「湊斗くん、ボクは拗ねてマセン」
机に頬杖つく俺の袖は、未だに萌え袖をキープ。
「拗ねてる亜朗、すっごい可愛い♪」
「ぷぅ、って膨れてるのレアだよね♪」
「ホント、何この可愛い生き物♪」
三つ子がデレデレしてこっちを見てる。
スマホのカメラ越しに……写真撮ってるの……?
「亜~朗っ!あんまり口尖らしてると、キスするよ?」
「ぶふっっ!」
千尋の大きい手で両頬をぶにっ、と押されて口内の空気が汚い音と共に外に出る。
「どーして亜朗はこんなに可愛く育っちゃったんだろーね?」
「……ひひははふはい(意味分かんない)……」
クスクス笑う千尋は冗談ぽく、んーー♪と首を斜めにしながら自分の顔を近付けて来る。
え……、ちょ……っ!待っ……!!
ガッ!と萌え袖で千尋の手首を掴むも、止まらない。
………ちょっと千尋っっ!
ホントに近いんですけどっっ!?
チラッ、と視線を外せば、持っていたスマホを千尋の後頭部に狙いを定めている三つ子と、爆笑している湊斗が視界に入る。
いやいやいや、湊斗さん笑って無いで止めてっ!?
三つ子でも千尋でも、どっちでもいーからさ!
……って!
ぅわわわわ!くっつく……っ!
視線を戻すと、ホントに至近距離まで迫る千尋の顔に、思わずギュッと目を瞑る。
「……………逆効果、なんだけどなぁ……」
え……?何?……
チュッ、とおでこにキスをすると、千尋は両手を離してくれた。
「腹減ったー、ホントに食いっぱぐれるよ?」
そう言って俺の腕を取り席を立たせる。
三つ子と湊斗にも「行くぞ」と声を掛ける千尋は三つ子に一発ずつ殴られていた。
ぞろぞろと連れ立って学食に到着。
寮のよりは小さいけど、充分な広さのある学食。
……寮と違って『境界線』は無い。
「丸テーブルだから、境界線作れないんじゃない?」
千尋が学生証を出しながら俺に言う。
千尋は俺が言葉に出してなくても、考えている事が分かるようで、質問してないのに答えだけをくれる事がある。
…………そーゆーとこ、好き。
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