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…………なんとなーく、外部生と内部生が分かれているのは見えるけど、とても曖昧で…正直意味無い物に思える。
「何食べる?日替わりは…ガパオライスか鶏の照り焼き、だって」
「ガパオライス食べるっ!」
「俺、照り焼きにしよー」
湊斗と一緒にショーケースを覗き込み速攻で決めた。
券売機で『日替わり』のボタンを押してウキウキで厨房前の受け取りカウンターに並ぶ。
トレーを持つ俺の手、萌え袖は健在。
この皐月学園は、校医の竹内先生もそうだし、ここの厨房スタッフさんも全員男。
「おばちゃん!俺、ガパオライスね!」という台詞に憧れるが、おばちゃんは1人も居ない。
「お兄さん!俺、ガパオライスね!」
「俺、照り焼きお願いしまーす」
1番近くにいた、まだ20代前半と思われるお兄さんにカウンター越しに食券を渡す。
「あ、ごめん。ガパオライス、今ので最後なんだ」
………………。
ショック………。
「君の萌え袖可愛いから、どうにかしてあげたいけど、ホント珍しくもう売り切れなんだよね」
……また萌え袖発言だし……。
「……仕方ないです……照り焼き、下さい……」
俺が教室で拗ねてたのが悪い。
お兄さんは悪くない。
「亜朗、俺の照り焼き半分あげるから元気出しな?」
湊斗が気を遣って言ってくれるけど……。
「いらないよ!俺も照り焼きって分かってて言ってるでしょ!?」
もー、と笑いが込み上げてくる。
湊斗って、ホントいい人なんだから。
2人で笑ってると、俺の前にいた人が何だかチラチラこっちを見ているのに気付いた。
………何?また萌え袖発言来る?
「……あ、あのっ!」
「ちょ、奏多(カナタ)っ!」
意を決した様に俺の方に体を向けて話し掛けて来たのを、隣の友達らしき人が止めようとしている。
「何ですか?」
ニッコリ笑って聞き返すと、俺が返事をした事にホッとしたのか、はにかむ様に笑う。
…………わぁ、可愛い子だぁ♪
俺より身長が少し高いけど、雰囲気は可憐な少女って感じで、多分誰が見ても可愛い。
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