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「ちょっ、千尋!三つ子!亜朗の事止めないのかよっ!」
「必要ない。あんな雑魚に亜朗は負けない」
「てか、あの切れ方する亜朗は、俺らもとばっちり喰らうから行かない」
「……静かに怒るから、分からなくて怖いんだよ亜朗は」
「俺らの亜朗、可愛いだけじゃないんだよね♪」
何やら後ろの方で湊斗が千尋と三つ子と喋ってるけど、俺は今そこに構ってる心境じゃない。
「アンタの言いたい事が全く理解出来ないんだけど。俺、頭悪いかな?外部入学して来ましたけど」
外部入学、を強調して言うと、プッと小さくどこかから笑いが漏れた。
クスクスと小さい笑いが広まると、相手は恥ずかしくなったのか、ガタン、と立ち上がる。
「てめぇっ!」
ブンッと殴りかかって来たのを、ステップだけでかわす。
「何?今の?暴力ってやつ?口じゃ敵わないからってすーぐ暴力とか、頭悪いんじゃないの?」
ワナワナと怒りで震える相手は、更にブンブン拳を振り回して来る。
……ホント、バカなの?
そんな感情任せの拳、当たる訳ないし。
ヒョイヒョイとかわしてると、疲れて来たのか相手の動きが止まる。
「あのさ、奏多くんはただ俺に、お礼をしようとしてくれただけだよね?それって人間として自然な事なんじゃないの?」
ピク、と相手の体が反応する。
「人間として当たり前の事をするのも、この学校の外部とか内部とかって括りの中だと、やっちゃ駄目な事になるの?それっておかしいと思わない?」
皆が俺の言葉を聞いているのが分かる。
「気に食わないとか、ムカつくっていう感情があるのも分かるよ?分かるけど、向ける方向とかタイミング、間違えちゃいけないと思うよ?」
「誰かが困ってたら助けてあげたいし、泣いてたらどうしたの?って声掛けてあげたい。助けて貰ったらありがとうって言いたいよ?そういうの、この学校じゃ駄目なの?」
一気に喋った俺の言葉に、学食内は水を打ったように静かになる。
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