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無言でいる相手。
……分かってくれないのかな?
俺が溜め息を吐くと、奥の席の方で動きがあった。
ガタガタッ━━━━━━━━━━
ネクタイの色と刺繍からして、内部の2年生が数人席を立ち、こっちに向かって来る。
近く迄来たけど、俺の方は一切見ない。
「……講堂のくだりは俺らには分からないけど、今のはオマエが悪い」
「内部の恥晒しみたいな事しやがって、バカか」
「天山会長には黙っててやるから、さっさと出て行った方いいぞ?」
顔見知りであろう先輩達にそう言われ、相手は先輩に頭を下げると仲間らしき人と学食を出て行った。
「あの……っ」
その先輩達に俺は声を掛けたが、先輩達はスッと奥の席に戻ってしまった。
……………内部生としてのプライドは譲らない、って事ですか…………。
「亜朗くん!」
奏多くんが駆け寄って来た。
「何か、今日は……ホントにごめん……」
泣きそうな顔で奏多くんが頭を下げる。
「謝らないでよ」
俺が言っても、奏多くんは泣きそうな顔のまま。
「奏多くんさ、こーゆー時に相手が言われて嬉しいだろうなって言葉、何か無い?」
ニッと笑って見せる。
「……ガパオライス食べて下さい……?」
学食内に笑いが起こる。
噎せてるっぽい人、多数。
……天然なんだね、奏多くんて。
「……ぃや、今限定で違くもないけど違うかな?ていうか……良く良く考えたら、倒れた後にガパオライスって奏多くん凄いよね!?」
そう言うと、一瞬考えてハッとした奏多くんは笑顔でこう言った。
「あっ!ありがとう!?」
そうそう!それそれ!
「どーいたしまして♪」
ニッと笑った俺に、学食内からキャー!と歓声。
え?何?
ビックリした俺はキョロキョロ辺りを見回す。
「はいはい、亜朗、じゃあそろそろご飯食べようね?」
いつの間にか近くにいた千尋に肩を抱かれる。
奏多くんに「じゃーね♪」と挨拶をし、千尋に連れられるまま歩く。
「千尋、俺何か悲鳴あげられたんだけど……どっか変だった?」
「いいや?亜朗はいっつも可愛いよ?」
「……何それ」
ふふ、っと笑ってしまった。
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