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「何なんすか、あのチートイケメンっぷり」
「亜朗は可愛くだけじゃなくて、カッコいい。そーゆーとこも大好き♪」
「中学の時、実はかなり女子からモテてたんだよ。本人はやっぱり俺らのせいで気付いてなかったけど」
「あーゆー感じの対応されたら、男女問わずキャー♪ってなるよねぇ……モテスキル、チートだよ」
湊斗と三つ子が後ろで何やら話してるが、俺は千尋に肩を抱かれているので、振り返れない。
千尋が持ってくれてたガパオライスを受け取り、空いていた席に着く。
「冷めちゃったけど、美味しいー♪」
ガパオライスを頬張る。
「亜朗、ちょっとちょうだい」
湊斗に言われ、「はい♪」と皿を湊斗の方に押しやる。
「てゆーかさ、亜朗のあのキレ方、久々に見たけど相変わらずだよなー」
「自分で手は出さないで、相手に出させる為のあの煽り方!正直あの段階で心折れる人もいるしねー」
「で、自分はヒョイヒョイかわし続けて、相手を疲れさせる。ま、大人しく話しを聞いて貰うには良い方法だよね♪」
んー、別にそこまで考えがあった訳じゃないけど。
普通に、ごく普通にムカついたし。
奏多くん、結局バレちゃったけど、バレるかも知れないって中、話し掛けてくれたんだよ?
めっちゃ勇気いったと思うんだよね。
ましてや俺、外部生だし。
あ、でも何で俺って分かったのかな?
……………………スプーンを持つ自分手を見て気付いた。カーディガン、か。
「桜岡っっ!!」
不意に近くから名前を呼ばれて、ハッとする。
声のした方を見ると、小林と佐々木だった。
「これ!」
小林がヒョイ、と何かを投げて寄越す。
両手でキャッチすると、それは缶コーヒーだった。
「厨房のお兄さんから!」
「萌え袖チートのイケメンくんに、だって!」
え?
「ぶっ!」
湊斗が吹き出し、千尋も三つ子も笑ってる。
ついでに言うと、近くの席の人も笑ってますけどね。
「萌え袖チート…っ!?」
何か萌え袖のスキル高いみたいに聞こえるけど、まぁ、いっか。
小林、佐々木と続いた言葉に、俺は視線を厨房の方に移す。
ヒラヒラと手を振るお兄さん。
それに手を振り返す俺。
……………お兄さん、俺、コーヒー苦手です。
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