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*** 傷 ***
午後は普通に授業があり、今は放課後。
「俺用事あるから、皆先に帰ってて」
千尋が1人、教室を出て行こうとする。
「用事って?」
「亜朗~、野暮な事聞くなって!」
湊斗に背中をバシバシと叩かれる。
「え?…あ、あぁ!」
呼び出しですね!?
告白かぁ………まぁ、男子校だけど……。
「湊斗、ちょっと」
ちょいちょい、と千尋がドアの所で湊斗を呼ぶ。
「どした?」
「俺戻るまで、亜朗の事1人にしないでくんない?」
「へ…?あぁ、うん、いいけど……」
「頼んだ」
何やらボソボソっと一言二言話して、湊斗だけこっちに戻って来た。
「千尋、何て?」
「あぁ、……何か明日休みだから今日は洗濯しなくて良い、だって」
ふーん。俺にも言えばいいのに。
寮の部屋に戻ると、俺はソファにゴロン、とする。
「何か疲れた……」
「今日の亜朗は凄かったもんな、色々♪」
湊斗に微笑まれて、ホッと落ち着く。
……眠たくなってきた。
ゆっくり瞼が落ちて来る。
「眠いの?」
「ん…」
気配で湊斗が近付いて来るのが分かった。
頭を撫でられる。
「夕飯まで寝てな?ちゃんと起こすから」
「…ぁりがと……」
そのまま意識が遠退いてゆく。
「…ちゃん、あーちゃん」
ん……?
「あーちゃん、どこ怪我したの?」
………三つ子……?
「僕らに、ちゃんと見せてね」
………意識がハッキリして来る。
ふ、と目を覚ますと、そこには三つ子。
やけに近い距離にいる葉。
「ん~……どしたの……?」
目を擦ってソファから体を起こす。
「あれ?湊斗は?」
湊斗がどこにも居ない事に気付いて三つ子に聞く。
「……………いないよ?」
そう答えた葉の顔は無表情………。
……………っっ!!
これは……っ!!
バッと振り返り、後ろにいる想と釉を見る。
2人共、無表情。
………っ!!
完全に……発作だ……!
……俺が……無茶したから……。
……………怪我、したから……。
目の前にいる葉が、俺のカーディガンのボタンに手を掛ける。
「……ごめんね……?」
不安にさせて…………。
心配させて、ごめん…………。
葉の手がボタンを外し終えた俺のカーディガンを優しく脱がせる。
後ろから想にネクタイをほどかれ。
釉が前に回り込んで、今度は俺のシャツのボタンを外し始めた。
……3人共、泣いている……。
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