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バタンッッ!!━━━━━━━━━━
「亜朗ッッ!!」
千尋が血相を変えて部屋に飛び込んで来た。
その後ろには動揺する湊斗。
「ッッ!!」
湊斗が上半身裸の俺を見て、顔が青ざめた。
「お前らっ!亜朗にナニしてんだっっ!」
「湊斗やめてっっ!!」
激昂する湊斗が怒鳴るのを大声で止める。
「なっ……!亜朗だって泣いてんじゃん!何で止めんだよっ!」
今にも三つ子に飛び掛かろうとする湊斗を、千尋の腕が遮る。
「………千尋?」
怪訝そうな湊斗。
無言でスタスタと俺に近付くと、千尋は側に落ちてたカーディガンを肩から掛けてくれた。
「………風邪、引くから……」
そう言って、俺の涙をちょっと乱暴に拭う。
俺はそんな千尋をじっと見詰める。
「……そんな顔すんな。大丈夫だから……」
優しい声でそう言われて、折角拭って貰った涙がまた溢れて来る。
「……泣くなよ、亜朗……。大丈夫、大丈夫だよ……?」
ふわっ、と両手で千尋に抱き締められ、大丈夫と言われた言葉が心に沁みて、体が震える。
「……ぅ………ぅあぁぁぁ………」
千尋の胸に抱き付いて、声を出して泣く。
「ぉ、俺…っ、ど、したら……」
「ぅん」
「こ、こん…な、に……っ」
「うん」
「ヒック………傷…、付け………っ…」
「……うん」
優しく頭を撫でられ、涙がどんどん溢れて止まらない。
「あーちゃ……っ」
「泣かないで……」
「……ごめん……ごめんなさい……」
三つ子の声が聞こえる。
三つ子は悪くないよ。
俺が、全部悪いんだ。
だから三つ子は泣かないで。
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