*** 傷 side湊斗 ***

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*** 傷 side湊斗 ***

学校から帰って来て直ぐに、亜朗がソファで寝てしまった。 「ホント……可愛い顔してるよなぁ……」 寝てる時まで可愛いって、どんだけだよ。 「ん……」 コロン、と寝返りをうった亜朗の顔に髪の毛が掛かってむず痒そうに顔をしかめる。 ちょっと躊躇ったけど、そっと手を伸ばして髪を退かしてあげると、スッキリしたのかまたスヤスヤと気持ち良さそうな寝息。 「……可愛い……」 思わず零れた自分の呟きに、ドキッとする。 ……いやいや、亜朗は男。俺も男。 俺は女の子が好き。……な筈……。 コンコン……━━━━━━━━━ ん?千尋もう帰って来たのか? いや、千尋なら自室なんだからノックなんかしないか。 そう考えて、ドアを開けると三つ子がいた。 「お、三つ子か」 ……?何か様子がおかしい……。 返事をせず、中の方に視線を注いだまま。 「入ってもいい?」 「おー、静にな。亜朗寝てっから」 ……何だ? 何かいつもと違う様な……。 気のせいか、と三つ子に続いて俺も室内に戻る。 「……あーちゃん、疲れた顔してる」 …………前も気になったけど、三つ子は亜朗の事を『亜朗』と呼ぶ時と、『あーちゃん』と呼ぶ時がある。 その違いは何だ? その後突然、腹が減ったと言う三つ子と何故か買い出しジャンケンが始まった。 結果、三つ子に嵌められた様な形で負けた。 「湊斗、いってらっしゃい」 くそー! 千尋に亜朗を1人にするな、と言われたのを思い出す。 …………ま、三つ子がいるから大丈夫だろ……。 そう思って、部屋を出た。 1Fのコンビニで何買おうか考えていた。 「湊斗?」 パンにしようか、つまめる物にしようか悩んでいた所に声を掛けられた。 「あ、千尋!用事は済んだ?」 「湊斗っ!何でここにいる!?亜朗も一緒か!?」 俺の言葉が聞こえてないみたいに、焦ってる。 「い、いや、部屋で寝てる。三つ子が来たんだけど、買い出しジャンケンで負けて……」 「……っ!」 千尋の顔がひきつる。 「あ、でも、三つ子いてくれてるから、亜朗1人じゃないし、だいじょ」 「戻るぞっっ!!」 俺の言葉は千尋の焦った声に遮られた。
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