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何でこんなに千尋が焦ってるのか分からないけど、俺がどうやらヘマをしたのだけは何となく分かる。
エレベーターホールに着くも、部活帰りらしい生徒達で混んでいた。
「くっそ……!!」
千尋は階段に向かってまた走り始める。
一段飛ばしで階段を昇る千尋の表情は、何故か悲しそうで……。
漸く階段を昇り切り、俺の足は若干ヘロヘロ。
千尋もちょっとスピードが落ちたけど、それでもまた部屋に向かって足を出す。
「亜朗っっ!!」
勢い良くドアを開け、千尋は叫ぶ。
俺も追い付いてドアから中を見ると……。
カッ、と頭に血が登った。
「お前らっ!亜朗にナニしてんだっっ!」
「湊斗やめてっっ!!」
そう叫ぶ亜朗は、上半身裸でボロボロと涙を流して泣いていた。
「なっ…!亜朗だって泣いてんじゃん!何で止めんだよっ!」
どう見たって、亜朗が三つ子に襲われた様にしか見えない。
何やってんだよコイツらマジで!!
三つ子に飛び掛かろうとしたが、横から千尋の腕が伸びてきて動きを止められた。
「……千尋?」
千尋は何で冷静なんだよ……っ!?
スタスタと室内に入り、亜朗の側にまで行き、側に落ちてたカーディガンを亜朗の肩にかけてあげた千尋の背中は、何だかとても悲しそうに見える。
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