*** それぞれの守りたいもの 1 ***

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「天山会長、知っててわざとですか?」 西園寺先輩がそう言うと、天山会長は悪戯っ子みたいな笑顔を見せた。 「まぁな♪向こうの渡り廊下歩いてたら、珍しく西園寺が笑ってるのが見えて。西園寺が笑顔で喋る相手ってなったら内部生はないな、って……ここ最近内部生と話してて西園寺が笑ってるとこ見てないし?それなら可能性としては、式典の時に保健室で話した外部生の桜岡じゃないかと思った」 一気に説明してくれた天山会長。 凄い推察力……。 「あ、天山会長っ!俺が勝手に話し掛けただけで、西園寺先輩は……」 「別に怒ったりしてねーって」 同じ位の背だけど、天山会長は俺の頭を撫でる。 ………あれ?……思ってたより、良い人? 「こんな天気良いのに、フード被ってた理由も分かってる。別に俺は内部生と外部生に言葉を交わすな、なんて言わない」 ……うん。やっぱりいい人だ。 「だけど、揉め事起こすなら喋んない方がいいんじゃないか、とは思ってる」 急に真面目な表情。 天山会長は俺に視線を移すと、ジッと見てくる。 「西園寺をこうやって笑顔にしてくれたり、内部生とか気にしないで河野に手を差し伸べてくれる桜岡が、人間らしくて凄く好きだ」 ……この人……もしかしたら本当は…………。 「どうして人間て、どうでもいい事に拘ってしまう時があるんだろうな?」 困ったように笑う天山会長に、俺は何か言ってあげなきゃと思ったけど、どうしても良い言葉が見付からなかった。 「桜岡の事、守ろうとしたあの三つ子の気持ち。今、すげー理解できる」 ……え…………?それ…………何……? 天山会長と三つ子、面識あるの? いつ?どこで?
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