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*** それぞれの守りたいもの 2 ***
━━━━━━━知らなかった。
「ホントに何も聞いてなかったんですか?」
西園寺先輩が驚いた様な、困った様な表情で俺に聞いてくる。
「は、い………全然……」
大地さんに呼ばれたあの朝に……、そんな事があったなんて……。
天山会長の言ってる事に心当たりが無かった俺は、一体何の事かと問いただした。
三つ子が言って無いなら、と細かい部分は教えて貰えなかったけど、俺が変な話題のネタにされた事、それに怒った三つ子が暴力寸前のキレ方をした事、それを天山会長が止めた事を教えてくれた。
……あ……。
……ど、しよ……。
「……桜岡?」
……俺が、悪目立ち……した、から……。
ごめ……。
「桜岡くん……っ!?」
フッ、と視界が少し暗くなった。
「あ、れ?」
静かに……確実に、頭の奥の方でズキン、という痛みが生まれてきた。
グラリ、と視界が歪む。
「桜岡っっ!?」
「桜岡くんっっ!」
焦った顔の先輩2人が、グニャグニャの視界の中で斜めに倒れてる…?
あ、違……俺が、倒れて……。
「あーちゃんっっ!!」
体が地面に着く寸前に、暖かい何かに包まれた。
「……っ、あーちゃん……良かった………」
俺の顔を覗き込み、心底ホッとした顔してる。
「……想……?」
想の顔の近さからして、どうやら俺は倒れそうになったのを、想に抱き留められたらしい。
「……ビックリした……急に倒れるんだもん……」
………………優しい想に、寸前とは言え暴力を振るわせてしまった……。
「……っ……想、想……っ……!」
ギュウ、とそのまま想の腰に腕を回して抱き付いた。
「……ん?どうしたの?」
想は優しく背中を擦ってくれる。
「何か怖い事……あったの?」
フルフル、と首を横に振る。
「……………じゃあ、このまま甘えてて?」
コクン、と頷いた。
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