***カタチ造るモノ 2 ***

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「あはははははっ!ぷっくく…はっ…駄目だっ」 誰か1人爆笑し始めただけなのに、それは感染するかのように教室中に広がっていった。 「あははははっ!」 「すげー忠犬みたい!」 「てか、どんだけよ!」 おぉ…!?何か上手く纏まってくれた!? 「はい、そろそろ皆笑いやんで!寮の規則から説明しますよー!」 先生の言葉に次第に笑いは小さくなり、やがて揉める前の静かな……でも空気はぐっと柔らかな教室になっていった。 「ねぇ、桜岡くんだっけ?」 一旦休み時間に入ると、さっき1番に爆笑した生徒が話し掛けてきた。 気さくな感じでいい人そう。 「うん、えーと…」 「あ、八町 湊斗(ヤマチ ミナト)。良ければ湊斗、で」 言葉の後半は俺をぐるり取り囲む様にしている4人に視線を向けて。 「…クククっ…」 で、視線外してまた笑い出す。 笑いの沸点低いんだね……。 「ぃや~いいよね、何か。俺、中学は別の男子中だったんだけど、そーゆー男子校特有の仲の良さ?には免疫あるし」 喋りながら俺の机の書類に目線を落とす。 「それなりに色んな場面見てきたつもりだったんだけど、それのどれとも違う感じで面白いよねー♪」 そして1枚のプリントを手に取って、俺を囲む4人にピラッと見せる。 「俺も、取り替えて、って言われちゃう?」 笑いを堪えた顔で手に持つプリントは、寮の部屋割り表。 ーーーーー506号室 ○桜岡 亜朗 ○柊 千尋 ○八町 湊斗 あ、同室だったんだ! 「やま、八町くんっ!俺と取り替えてっ!!」 1番に釉が飛び付く。 八町さーーーーん、煽ってどーするんですかー。 「あはっ、あはははっ!言われた!」 またまた爆笑の八町さん。 すっごい楽しそう……。 「あはははっ!やばい、マジ楽しいっ!」 ……………うん。それは良かったね。 「…八町くん、学食半年分奢るから…」 おおー!想、随分太っ腹な賄賂だねっ!? 「そ、それなら僕はノート1年間代わりに書くから!」 葉…、自分のはどーするつもりなの? 「みっちゃん諦め悪い。規則で余程の事が無い限り、部屋割り変更は認められないって先生言ってただろ?」 呆れた千尋が俺を背後からギュッと抱き締める。
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