雲の先にあなたは

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泣いてばかりで遂には田舎に逃げ込んだ一年前の私に比べれば今の私なんて一人で悲しい、悲しいと思い込んでいるだけの面倒くさい女なだけなのかもしれない。 昔の恋人か、そうだよね。言葉に表したらなんて中身のない言葉だろう。それまでの月日は、昔の一言に集約されてそこには無感情な事実が横たわるだけ。 結局、他人からすればそれまでの事。問題は片割れである私がどう思い続けるか、たったそれだけの事だったんだ。死んじゃったらそれ以上の進展も望めない。目的地を持たない一方通行な想いが彼の頭上を突き抜けていくだけ。 なんて事まで考えたら力が抜けてきた。呆気なかった。重く考える必要なんて無いんだ。私は新しく彼との恋愛を作っていけばいい。通との時間は私の、昔の大切な思い出として消えていくことは無いだろう。 そう結論付けると堂島さんにメールを打つ。返事は早く伝えておきたかった。 「堂島さん、今日の事すごく嬉しかったです。突然すぎて思わず家で考えるなんて言っちゃいましたけど、私でよければよろしくお願いします。 早速ですけど明日の昼にまた会いませんか? 昼休憩だけなので時間短いですがランチでも……。楽しい時間を過ごせる事を期待しています」     
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